出典:techicoo(遠田志帆の活動情報&作品公開サイト・トップページ)
私が遠田志帆さんを知ったのは、綾辻行人さんの小説「Another」の表紙です。
その時から緻密なイラストが目に焼き付いて離れませんでした。
しかし、実際にいざ紹介したいと思ってみると全くと言っていいほどイラストのことが分からない自分に気づいてしまったのです。
遠田志帆さんの画集
最近、アダム・ヒューズの「カバーラン」を買って感動したばかりですが、それと同時に遠田志帆さんの画集が発表されていることを知りました。
ずいぶん前に発売されていたんですね。
早速、手に入れました。
その画集の帯には綾辻行人さんのことばが書いてあります。
ひとめ見て、魅入られた。
その頑ななまでの可憐さに、妖しさに。
瞳の向こうに広がる謎に。綾辻行人
出典:遠田志帆画集 帯より
さすがに作家さんだけあって、全ての文字が的確に遠田志帆さんの作品を言い表しています。
「可憐さ」と「妖しさ」といった相反するものの同居と深遠さを持った遠田さんのイラストの形容にピッタリです。
この画集は100点を超える作品が(描き下ろし5点を含む77点の作品+「はなとゆめ」(冲方丁)の装画26点)収録されています。
私のベスト3
遠田志帆さんの作品はどれも素晴らしいのですが、その中でも私の心を揺さぶる作品を3つ上げてみました。(あえて表紙イラストは避けました。)
「IBUKI」
その中で私が一番素敵だと思ったのは、描き下ろし作品のなかの一つ「IBUKI」です。
遠田さんも表紙のイラストを「IBUKI」にするか迷ったと解説されています。
この「IBUKI」と表紙イラスト「TAMAYURA」はおそらく姉妹作品ではないかと思います。
セーラー服の「IBUKI」と着物の「TAMAYURA」という違いはありますが、構図も似ています。どちらにも美しいアゲハ蝶が描かれています。
この2つの作品のアゲハ蝶は「生と死」「生命の円環」を象徴しているのではないかと思っています。
「花風」
3年半ホームページのトップ画像だった作品との解説があります。
その解説を読む前に「花風」を選びましたので、力のある作品は目を惹きつける証しだと思いました。
実は遠田さんのホームページに出会ったのは(情けないことに)今日が初めてだったのですが、「花風」が飾ったトップページも見てみたかったです。(※ページ上部のイメージを参照のこと)
この作品は少女の瞳が圧倒的な吸引力を持っています。
凜とした瞳は花が舞うほどの風を避けて何を見つめているのでしょうか?
「灯蛾」
ゴシック調の色彩を持った作品です。薔薇の花飾りが、それを象徴しています。
全体的に暗さを感じる作品ですが、遠田さんのゴシック作品は黒と赤といったモノトーンのものではありません。
緻密に描かれた髪の光と背景の色が単純にゴシックと言ってはいけない雰囲気を演出しています。
何より惹かれるのはうつむいた少女の瞳です。
その光は、悲しげでありながら、強い意志を感じさせるものです。
番 外
上記以外にも、目を惹いた作品がたくさんあります。
少しだけ列挙しておきます。
- 「Another エピソードS」 装画
- 「最後の記憶」 装画
- 「REM」 装画
- 朱鬼
- 春雪
Another エピソード S image by Amazon
(う〜…表紙になるとイラストのすばらしさが半減する感じがします。イラストの一部分しか見えないので)
たぶん、ひとつ一つの作品に感想を書くことも可能です。時間が許しそうにないので、諦めました。
イラストをこのページに掲載することが出来ないので、文章のみの表現では苦しいですね。
ぜひ、このイラスト集を買ってみて下さい。
私の感動が言葉たらずで表現し切れていないことがよく分かると思います。
この作品集で惜しいところ
この作品集は見開きで1作品を掲載しているページが多いのですが、きちんと製本されているので、作品全体を平面として見通すことが出来ません。
生頼範義さんの図録のような綴じ方がベストだったのではないかと思います。
参照:「糸かがり綴じ」(軌跡を体感せよ 生頼範義展)
または、デジタル版もありではないかと思います。
そうすれば、のどの部分がなくなるので完全な作品集となるでしょう。
デジタル版の作品集が発売されたら、きっと買います。
遠田志帆さんの作品は油絵?
私の絵に対する知識のなさを露呈してしまいますが、遠田志帆さんのイラストはどうやって描かれているのかとても気になりました。
あまりにも緻密です。
ネットでサーチしてみると「遠田志帆のアナログ水彩風イラストの描き方、仕上げ方」というページに行き当たりました。
参照:遠田志帆のアナログ水彩風イラストの描き方、仕上げ方(創作活動応援サイト CLIP)
このページによると「IllustStudio」を使ったデジタル作品とのこと。
遠田志帆さんは、以下の本でメイキングを紹介されているそうです。
キャラクター・水彩・厚塗り・風景がもっとうまくなる! 公式 IllustStudio ステップ バイ ステップ image by Amazon
「IllustStudio」というソフトウェアを触ってみたくなりました。
© bluelady.jp
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