「バイストン・ウェル物語」は富野由悠季監督の書籍名です。
この本は私の書棚に古くから収まっていました。
多くの古い本は散逸してしまいましたが、なぜかこの本だけは手元に残りました。
バイストン・ウェル
「バイストン・ウェル」は富野由悠季監督の「聖戦士ダンバイン」というアニメの根幹をなす世界のことです。
簡単に言うと「海と陸の間の異空間で魂の生れいずる場所」です。
その世界は「オーラ力」で満たされていることが特徴。
「オーラ力」は、現世に出ると世界そのものを滅ぼしかねないほどのエネルギーを持っています。
うろ覚えなので、説明不足かもしれませんが、富野由悠季監督がヒロイック・ファンタジーとロボットものを接合するために考案した、独自の世界が「バイストン・ウェル」です。
この世界は「ダンバイン」というロボットを動かしただけで無く、富野監督の数々のファンタジー小説の舞台ともなりました。
バイストン・ウェル物語
私の書棚から出てきた、この本は富野由悠季監督がバイストン・ウェルを舞台にして最初に書いた小説「リーンの翼」が、まだ野生時代に連載されていた時期に出版されています。
奥付には「昭和59年2月10日 初版発行」となっています。
サブタイトルは「聖戦士ダンバイン-リーンの翼」で、このタイトルが示すように2つの作品の特集本といえます。
この本を久しぶりに手に取ったので、富野由悠季監督の作品でもっとも好きな小説である「リーンの翼」のことを記しておきます。
リーンの翼
「リーンの翼」はバイストン・ウェルを舞台にした最初の小説というだけで無く、「機動戦士ガンダム」「伝説巨人イデオン」の次に来る富野由悠季監督の初期小説作品として特筆されます。
私は富野由悠季作品のほとんどをカバーしてきたのですが、この3作品だけが小説と言えるクオリティーを保っていると思っています。
残念なことに、その後の作品からは氏の小説に対するパトスが少々薄れていると感じています。
「リーンの翼」は、少々色っぽいのも作品の特徴になっています。
これは「機動戦士ガンダム」「伝説巨人イデオン」にも共通するもので、子供のための小説を書いているのではないという氏の意識によるものだと思います。
特攻機「桜花」のパイロットである「迫水真次郎」は爆死寸前に「オーラロード」に導かれ、バイストン・ウェルの世界迷い込みます。
そこから始まる乱世の物語はヒロイック・ファンタジーとしても傑出しています。
………
リーンの翼は元々カドカワ・ノベルスとして出版されました。
リーンの翼 1―バイストン・ウェル物語より image by Amazon
その後、大幅な描き下ろしの部分を追加して豪華ハードカバーの4巻セットで出版されています。
この4巻本は前半がカドカワ・ノベルス版「リーンの翼」を改稿したもの、後半は、その後の世界を描くオリジナル・アニメとなったストーリーへ展開しています。
前半部分はかなり改稿されているらしく、当初の小説「バイストン・ウェル」の解説が削られていました。
しかし、私にとって、この作品が富野由悠季監督の小説としては最高傑作という位置づけは変わりようがありません。
各巻が400ページを越える大作ですが、これを機会にもう一度読んでみようと思っています。
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リーンの翼 1
リーンの翼 2
リーンの翼 3
リーンの翼 4
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