Photo by mickeydb
デヴィッド・ボウイの傑作アルバム「ジギー・スターダスト」を支えたバックバンド「スパイダース・フロム・マース」は、ボウイがジギー・スターダストを葬った後も、ピンナップスまではボウイと活動を続けています(ピンナップスではウッディ・ウッドマンジーは参加せず)。
しかし、その後は分裂し、それぞれ音楽活動を始めることになります。
ミック・ロンソン(ロンノ)は一時モット・ザ・フープルに加入していますが、その後独立しています。
ウッディー・ウッドマンジーやトレヴァー・ボルダーは新しいメンバーを入れて「スパイダース・フロム・マース」を再結成しています。
近年ではトニー・ヴィスコンティとウッドマンジーらは「世界を売った男(The Man Who Sold The World)」を再現するライブを行って注目を浴びました。
デヴィッド・ボウイの「ジギー・スターダスト」期はボウイの歴史において最初に才能を開花させた時期であり、最高の曲「All The Young Dudes」を惜しげもなくモット・ザ・フープルに提供してしまっています。
これらのアーティストたちのアルバムも聴きましたが、デヴィッド・ボウイの輝きがなければ、私にとっては「ただの音楽」としか思えませんでした(モットは別)。
ミック・ロンソンのギターは愛してやみませんが、やはりボウイがいなければイマイチだったのです。
ミック・ロンソンについてはデヴィッド・ボウイのアルバム「ブラック・タイ・ホワイト・ノイズ(Black Tie White Noise)」のところで触れていますが、このページで取り上げるべきと思い、再掲載となりました。
モット・ザ・フープル(Mott The Hoople)
photo by mickeydb
デヴィッド・ボウイはモット・ザ・フープルが本当に好きだったんですね。
ボウイのジギー期の名曲の複数を(「Suffragette City」を含む)モット・ザ・フープルに提供しようとしたらしいです。
モットはイアン・ハンターをボーカルに据えたバンド。
ミック・ロンソンはデヴィッド・ボウイと決別した後、モット・ザ・フープルに加入しています。
すべての若き野郎ども(All The Young Dudes):1972年発表
デヴィッド・ボウイがプロデュースしたアルバム。ボウイもミック・ロンソンも参加しています。
やはりボウイの曲「All The Young Dudes」が最高。
この曲の始まり方に驚かされます。
「Sucker」もいい。「Ready For Love」からの後半もしびれます。
スパイダース・フロム・マーズ(Spiders from Mars):1976年発表
デヴィッド・ボウイと袂を分かった後、ウッディー・ウッドマンジーやトレヴァー・ボルダーらはボーカルにピート・マクドナルド、ギターにデイブ・ブラックを引き入れ、スパイダース・フロム・マーズを名乗ります。
スパイダース・フロム・マーズ(紙ジャケット仕様) image by Amazon
しかし、ボウイもロンソンもいないスパイダースが出したアルバムは、どうにも褒められた代物ではありませんでした。
私にとっては興味を満たすためだけのものになりました。
「マース」なのか「マーズ」なのか、どっちか疑問が残っただけです。
ホリー・ホリー(Woody Woodmansey/Tony Visconti’s Holy Holy):2015年発表
過去記事でも取り上げていますが、2015年、トニー・ヴィスコンティとウッディー・ウッドマンジーはグレン・グレゴリー、ジェームズ・スティーブンソン、リサ・ロンソン(ミック・ロンソンの娘さん)らと共に「世界を売った男(The Man Who Sold The World)」の再現ライブをやっていました。
7月、日本公演もありました。
The Man Who Sold the World Liv image by Amazon
新しいものなので、音としては文句ないですが、ボーカルが気になりました。
「世界を売った男(The Man Who Sold The World)」はボウイでないといけません。
サウンドがなまじ近いだけに、ものすごい違和感がありました。
しかし、トニー・ヴィスコンティの発表を読んでしまうと、応援せざるを得ませんね。
参照 ボウイはまだ数ヶ月生きるつもりで、亡くなる1週間前にヴィスコンティにレコーディングしたいと語ったそう。5曲分のデモがあったそう(ro69)
このデモの公開も切望しています。
ミック・ロンソン(Mic Ronson)
ミック・ロンソンは初期のデヴィッド・ボウイを支えた、最高のギタリストです。
ボーカルに魅力があったらボウイと張り合えたかもしれません。
スローター・オン・10th・アベニュー(Slaughter On 10th Avenue):1974年発表
Slaughter on 10th Avenue image by Amazon
「Solo On 10th Avenue」で最高のギター・パフォーマンスを聴かせてくれます。
ミック・ロンソンは最高のギタリストです。
プレイ・ドント・ウォリー(Play,Don’t Worry):1997年発表
プレイ・ドント・ウォリー(紙ジャケット仕様) image by Amazon
「Angel No. 9」がいいですね。
このアルバムには「White Light/White Heat」「Stone Love(Soul Love)」も収録されています。
ヘヴン・アンド・ハル(Heaven And Hull):1994年発表
ミック・ロンソンの死後、彼の仲間たちが集まって残された音源をまとめて発表したアルバム。
もちろんボウイも参加しています。
参加曲は「Like A Rolling Stone」。
ボウイのこの曲が聴けるのはここだけでは?
ロンソンのボーカルによる、名曲「All The Young Dudes」も入っています。
思えば1993年4月29日に亡くなったミック・ロンソンも肝臓ガンでした。
ひょっとしたら、デヴィッド・ボウイと天国でバンドを結成して、私が大好きな「Moonage Daydream」を演奏しているかもしれませんね。
デヴィッド・ボウイは相変わらずロンノのギターに齧り付いているでしょうか。
p.s. デヴィッド・ボウイの新曲デモがあることが分かって「★(Blackstar)」のExtraバージョンの可能性が高まってきました。この後も、発掘作品の情報が出てくるかもしれません。
デヴィッド・ボウイが逝ってしまっても、まだまだ、ボウイファンはやめられません。
ひとまず、この記事で小休止しますが、今後も、ボウイをもっと知るために、もっと知っていただくためにボウイ記事を続けていきます。
実はこのブログには、まだボウイのライブアルバムのページを書いていないんですよね。
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ヘヴン・アンド・ハル
デヴィッド・ボウイの「Like A Rolling Stone」がやっぱり最高です。
※Amazonにリンクします。
コメント
やまりんさん、こんにちは。
今、ヤフオクにはBOWIE関連商品がどんどん出品されています。
今なら高く売れるだろうみたいな。
新品未開封なんて、売り目的で購入したんではないでしょうか。
あまりの多さと、最初から高値を付けたいる人を見ると、少しむかつきますね。
そうなんです。
これが言いたかったんです。
予想されていたことですので、ヤフオクは見ないことにします。
…と言いつつチラ見しました。
よだれが出そうなものも出ていますね。
とにかく今は買いません。
たぶんこれを契機に正式に再発されるものも出てくるのではないかと思います。
私は今まさに「戦場のメリークリスマス」を観て、涙している最中でした。
佳い映画でした。
たけしに全て持って行かれてしまっている感がありますけど…
この映画が話題になっていた1983年ごろ、映画もテレビも落ち着いて観られるような状況ではなかったかもしれません。
この映画のことは有名なシーンは頭の中にあるのですが、しっかりと観たのは初めてかもしれません。
そのうち、この映画もシルビアンも引っくるめてページを起こします。
明日は「ハンガー」を観ようと思ってます。
せっかく情報を頂いたのですが、シルビアンはデヴィッド・ボウイの周辺アーティストとして扱わないかもしれません。
ひらにご容赦お願いします。
やまりんさん、おはようございます。
いいですよ。シルビアンは、同じデヴィッドでも特別ボウイのフォロアーではないですから。
ジャパンのプチトリビアとしては、YMOと交流が深かったのですが、
シルビアンは坂本龍一と、スティーブ・ジャンセン(ドラム担当、シルビアンの弟)は高橋幸宏と仲が良かったとか、一時土屋昌巳(一風堂)がギタリストで参加していたなんてのがありますが、ご存知だったですかね。
話を、ボウイに戻しますが、「★」は正にボウイが最後にファンに向けた遺書的内容のアルバムですが、
1年半前から癌を患っていた事を思うと、あの「Nothing has changed」は17歳の時のデビュー・シングル「Liza Jane」からラストアリバム「★」にも収録された「Sue」までの全キャリアをまとめたアンソロジーベストだったのだ気付かされました。
今後、どんな追悼盤が出されるのでしょうか。
陳腐なベスト盤では「NHC」は越えられません。
期待するのは未発表もの(スタジオ、ライブ、インタビュー等)です。
また今年は「Fiveyears」に続くBOX第2弾として「DIAMOND DOGS」から「LODGER」までを収めた「Goldenyears」(私
の予想タイトル)が出されるんじゃないかと思います。
今回こそ、ぜひ「Rebel Rebel」のシングルヴァージョン収録を期待します。
aladdindogsさま
ありがとうございます。
私はYMOについては忘れてしまいました。坂本龍一さんもアルバムを1枚しか持ってません。記事はもう書いてしまいました。「戦場のメリークリスマス」軸になります。
私は坂本龍一さんは苦手だったと思い出しました。
シルヴィアンも比較的アルバムを持ってますが、苦手なアルバムが結構あるのに驚きました。
このあたりは今後公開予定の記事で明らかになります。
「Nothing has changed」についてはおっしゃる通りですね。
なぜあのタイミングでベストアルバムを出すのか分かりませんでしたが、胸落ちしました。
「Nothing has changed」を改めて聴いてみようと思います。
「★」についても亡くなった事実を踏まえて、再確認したいと思いましたが、たぶん当分の間記事でまとめることはないと思います。
生前の印象を大切にしたいので…
そのたぐいは今後ネット情報がたくさん出てくるでしょうね。
「Rebel Rebel」のシングルヴァージョンとは「Rebel Rebel [U.S. Single Version]」のことでしょうか?
他にもあるんでしょうか?
BOXセットが出たら買ってしまうかもしれませんが、ほとんど持っているので、ちょっとだけ追加されているようなものはあんまり出して欲しくないですね。
既存のファンにも感動を与えるものにして欲しいです。
私が心残りなのは「ステイション・トゥ・ステイション」のLP版を含めたボックスと「David Bowie is」に日本語版です。
回顧展が来年あることを思うと「David Bowie is」は再発されるんじゃないかと期待しています。
「ステイション・トゥ・ステイション」はどうなんでしょうね?
CDだけでもいいので出して欲しいです。
ボウイのインタビューについてですが、「VH1 Storytellers」の海外盤を買ったとき日本語の解説がなかったので、意味が分からず残念に思いました。
曲のまえのMCがたくさん入っていて好きなアルバムです。
観客の笑いや、やりとりもはっきりと分かってリアル感があります。
「Rebel Rebel」のイントロだけやって観客とのやりとりがあったり、素敵な(意味分かりませんが)会話が弾んでます。
デヴィッド・ボウイが本当に楽しそうです。
このアルバムには「Can’t Help Thinking About Me」なんかも入ってました。
やっぱり私にとっては「アワーズ」「ヒーザン」「リアリティ」のころのボウイがカッコイイです。
ペルソナを演じることもなく、とても自然な感じのスタイルが好きです。
なによりボウイが楽しそうなのがいいですね。
たぶんボウイはその頃「トゥナイト」以降の苦悩を乗り越えて、自分のセンスを取り戻したのだと思います。
そして、ヒーザンで再びトニー・ヴィスコンティーと仕事をし始めた。
それからは良いものしか出来ないことは分かってました。
「アワーズ」はボウイが自らの老いに向き合ったアルバムです。
そうした意味では死と向き合った「★」にいたる過渡期として、是非聴いて欲しいアルバムですね。
このところ「Ziggy Stardust And The Spiders From Mars: The Motion Picture」の映像を見直したり「戦場のメリークリスマス」を観たりしていました。
ジギーはやっぱりカッコいいです。
昨日「ハンガー」を観ました。
ボウイのカッコイイシーンは少しだけ、さらに私は怖いのは苦手でした。
予期せず長文になりました。
すみません。
「Rebel Rebel」のシングルヴァージョンとは、アルバム「DIAMOND DOGS」の先行シングルで日本でも「愛しき反抗」として出されたもので、アルバムヴァージョンよりもエコーが薄いドライミックスで、生ギターとピアノの音が強調されています。
今でもアナログシングルなら手に入りますが、一度もCD化されていません。
NMEのトリビアは結構いい加減でアルバム「DIAMOND DOGS」が全ての楽器を演奏している様な表現でしたが、全楽器を演奏しているのが、「Rebel Rebel(USシングルヴァージョン)です。
また、最後の出演映画は2005年の「プレステージ」とありましたが、前にも紹介した通り2009年の「バンドスラム」が最後の出演作品です。
なるほど。そうなんですね。
「Rebel Rebel」はちょっと楽しみですね。
NMEのトリビアについても突っ込みありがとうございます。
「DIAMOND DOGS」はミック・ロンソンとも離れて絶対にいいものを作るという気迫が感じられますね。
私はどこかで、「Rebel Rebel」のヘタウマなボウイのギターが逆にいい感じを出しているというようなことを読んだことがあります。
「プレステージ」は紛失したままです。
「Re:Call 1 (Five Years 1969 – 1973)」の「Port of Amsterdam」を聴きながら書いております。
また、長文になりそうですが、よろしいでしょうか。
今までも、公式な物やブートで未発表曲が出てきましたが、実はそう言った曲の流出にボウイは大変厳しい管理をしていたと言われています。
なので、実は未発表曲はまだまだ沢山あると思われますが、どれだけ出てくるかは分かりません。
ボウイが亡くなられた事で出てくる可能性もあります。
デラム時代にデビューアルバム「DAVID BOWIE」に続くセカンドアルバムも途中まで作られていました。(未発表)
「デラムアンソロジー」を出す時に、レコード会社は最初それらを収録したかったのですが、ボウイが許しませんでした。
それより、大分前にその頃に録音された「Ernie Johnson」というタイトルの組曲(ロックオペラだとの説も)のテープが流出し、オークションにかけられた事がありました。
何者かが高額で落としましたが、その後音源が世に出なかったので、一説によればボウイの代理人が回収したと言われています。
aladdindogsさま
「Ernie Johnson」とは、ものすごい話ですね。聞いたことありませんでした。
未発表がたくさんあるという話は常々噂されていました。
そのような未発表ものの管理をこの際、緩くしてもらいたいと思います。
それにしても「Toy」は簡単に流出してしまったように思います。
これって意図的なものが感じられます。
本当のところはどうなのでしょうか?
「TOY」はボウイは出したかったが、当時の所属会社(確かヴァージン)がOKせず、その後自身のレーベルISOを作り現在のコロンビアに移籍しています。
流出は私も意図的であった様に思いますね。
なるほど。そんな感じでしたね。
一アーティストの生涯公式発表曲が何曲かと数える時、必ず引っかかるのが同じ曲のヴァージョン違いや再録を数に入れるか入れないか。
ヴァージョン違いは抜く事が多いが、別物に近い再録はどうするか。
他のアーティストとの共演や、ライブ、公式でない物は抜く。
ビートルズの公式曲は278曲とされる事が多いが、異論もあると言う。
果たしてボウイは何曲なんだろう。
自分なりに数えてみたが、やはり難しい。
多分414曲。自信はないが、多分それぐらい。
aladdindogsさま
ありがとうございます。
その事実を考えると、デヴィッド・ボウイの評価は低すぎると思いませんか?
20ポンド札になってもおかしくないですね。
全米1位のアルバムが「★」だけというのも解せません。
シングルも「フェイム」だけだし…
グレン・フライといい、悲しい知らせが続きますね。
参照:モット・ザ・フープルの創設メンバー、デイル・グリフィンが他界。享年67(RO69) – http://ro69.jp/news/detail/137482?count=10&topic=3
安らかにお眠り下さい。