ブッダ・オブ・サバービアはただのサントラアルバムではありません。
このアルバムは全曲デヴィッド・ボウイが書いています。さらに、デヴィッド・ボウイが一人で仕上げたといっていいほどのアルバムなのです。
レニー・クラヴィッツをのぞいた参加ミュージシャンはアーダル・キジルケイとマイク・ガーソンのみ。
レコーディングは6日ほどで終わったといわれています。
ブラック・タイ・ホワイト・ノイズをリリースした後、7ヶ月でこのアルバムはリリースされました。
これらのことから、お手軽に作ったサントラと思われるかもしれませんが、内容は非常に濃いものです。
「レッツ・ダンス」以降のアルバムの中で最も優れたアルバムだと断言しておきます。(※このアルバムがリリースされた時点)
スペイス・オディティからロウまでボウイのキャリアを彷彿とさせる楽曲群
収録曲は以下。
The Buddha of Suburbia
- Buddha of Suburbia
- Sex and the Church
- South Horizon
- The Mysteries
- Bleed Like a Craze, Dad
- Strangers When We Meet
- Dead Against It
- Untitled No. 1
- Ian Fish, U. K. Heir
- Buddha of Suburbia
デヴィッド・ボウイはこのアルバムでジギー期の再生を図っていたり、ロウに入っていてもおかしくないアンビエントを披露しています。
「Buddha of Suburbia」に「Space Oddity」や「All The Madmen」の引用が見られることが知られていますし、「The Mysteries」はベルリン期のアンビエントを越えた作品です。
「Strangers When We Meet」は「ステイション・トゥ・ステイション」の時期の楽曲に比肩します。
この素晴らしいアルバムが少ないスタッフと期間で作られたことが奇跡的です。
デヴィッド・ボウイの評に「曲がすぐに出来てしまう」というような書き方が見られますが、この表現はいくらかの揶揄を含んでいて正当ではありません。
デヴィッド・ボウイが真の天才だからこそ成し遂げられたことだと思います。
大好きなアルバムからは2曲
このアルバムからはボーカル曲とインスト曲を1曲ずつ選んでおきます。
ボーカル曲からは
- Buddha of Suburbia
- Strangers When We Meet
- Untitled No. 1
のいずれかを選びたいのですが、「Buddha of Suburbia」と「Strangers When We Meet」はボウイとしては定番のような曲なので、「Untitled No. 1」を選んでおきます。
この曲にはマーク・ボランのような声も入っていて、とても面白い曲です。
ボウイのボーカルの浮遊感が特徴です。
他のアルバムではこのような曲は聴けません。
インスト曲では「The Mysteries」が最高です。
前述したように「ロウ」の頃のインストに負けません。
もし、サントラと思って未聴の方がいらしたら、これを機に是非聴いてみて下さい。
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コメント
こんにちは。このアルバムは、タイトルトラックのみで、残念ながら未聴です。修行が足りませんでした。untitled no.1は曲名自体初めて耳にしましたが、Linさんのレビューで聴いてみたくなりました。バックレー氏の本でもかなりお勧めしてあるようですね。
さむたいらさん、是非「ブッダ・オブ・サバービア」を聴いてみて下さい。
バックレー氏は辛口で馴染めない部分もありますが、このアルバムは聴く価値があると思います。
私は「Bleed Like a Craze, Dad」でお願い致します。
勿論、キャッチーなのは「Buddha of Suburbia」「Strangers When We Meet」なんですけどね。
aladdindogsさん、ありがとうございます。
このアルバムの評価ってボウイのアルバムの中では相対的に低いのでしょうか?
もっと評価されてもいいはずなのですが…
日本では、そうかも知れませんね。発売されていませんから。
ああ、そうですね。
日本で発売されていないのを忘れてました。
新しいジャケットになって発売されたものと思ってました。
ライコ版では様々なアウトテイクが発表されましたが、同じように後期の作品もアウトテイク込みで発表されて欲しいですね。