ついにベスト・オブ・ボウイのページもこれで最後になります。
このアルバムはブログを開始してから始めてリリースされたアルバムとして、たくさんのページで取り扱いました。
しかし、デヴィッド・ボウイの原点である「Early On」から1枚1枚のアルバムを確かめて、ついに「ブラックスター」に至ると、今までとは全く違った感動があります。
「ブラックスター」は、これまでのボウイを脱却した新しい音なのです。
ボウイが馴染み親しんだバンドメンバーではなく、ダニー・マッキャスリンのバンドとベン・モンダーのギターをベースにしたサウンドはボウイが目指した一つの到達点になったことが、はっきりと分かりました。
私は「ブラックスター」をデヴィッド・ボウイの遺作として認識していたために、このアルバムが正確に見えてなかったのかもしれません。
マリア・シュナイダーのジャズが活かされた「スー」
「ブラックスター」はジャズのサウンドで作られています。
中でも「Sue (Or In a Season of Crime)」はマリア・シュナイダーとの共作曲であり、「ブラックスター」の重要なサウンドをなしています。
この曲のソリッドなサウンドは超絶の領域に達しており、いかに新しいジャズサウンドをリードするマリア・シュナイダーといえども、デヴィッド・ボウイとの共作でなければ、これほどの曲は生み出せなかったでしょう。
その「Sue (Or In a Season of Crime)」はベストアルバム「Nothing Has Changed」の発表と同時に先行リリースされましたが、さらに完成度を増してアルバム「ブラックスター」に収録されることになります。
「ブラックスター」の「Sue (Or In a Season of Crime)」はジャズを完全に脱却した新しいサウンドに再生(リプロダクト)されたかのようです。
ダニー・マッキャスリンのバンドが基本となっている
さらに重要なのは「ブラックスター」がサックス奏者のダニー・マッキャスリンのバンドを中核として作られたということです。
そのため「ブラックスター」を理解するためにはマッキャスリンの以下の2つのアルバムを聴いてみるべきです。
Casting for Gravity(Donny McCaslin)
Casting for Gravity image by Amazon
Fast Future(Donny McCaslin)
ダニー・マッキャスリン、ジェイソン・リンドナー、ティム・ルフェーブル、マーク・ジュリアナらのサウンドは今までのジャズという常識を覆した新世代のジャズ・フォーマットです。
そして、幻想的な「Hydra」を作り上げたベン・モンダーが参加して「ブラックスター」のサウンドの基本ができあがります。
Hydra(Ben Monder)
デヴィッド・ボウイの才能が「ブラックスター」のサウンドを作り上げた
Blackstar
- Blackstar
- ‘Tis a Pity She Was a Whore
- Lazarus
- Sue (Or In a Season of Crime)
- Girl Loves Me
- Dollar Days
- I Can’t Give Everything Away
「Casting for Gravity」や「Fast Future」を聞いていただければとてもスリリングな新世代ジャズだということが分かります。
しかし、「ブラックスター」のサウンドはこれらのものとは異なっていることも同時に分かるはずです。
その主な要因はサウンドをリードしているのがボウイのボーカルなのかマッキャスリンのサックスなのかということもあるでしょう。
さらにベン・モンダーのサウンドが化学変化の触媒になっているのかもしれません。
ただ、それだけで「ブラックスター」のドラマチックな深みのあるサウンドが生まれるのでしょうか?
そこにあるのは、リンゼイ・ケンプに師事しロックに演劇やSFまで取り込んだデヴィッド・ボウイだからこそ表現出来る深みなのかもしれないとも思うのです。
このアルバムから曲を選ぶのは困難ですが…
ここまで書きながら「ブラックスター」を聴いていると、とても1曲を選ぶなんて無理という気持ちになってきました。
やはりこのアルバムはデヴィッド・ボウイの最高傑作です。
以前、アルバムBEST10を選んだときに2位に位置づけましたが、この瞬間に1位の座を奪い取りました。(ページは修正しないでおきますが…)
アルバムとしての完成度が高すぎます。
このサウンドはボウイだけのロックの到達点といえるでしょう。
……
しかし、ベスト・オブ・ボウイのページ最後になるので、1曲選んでおきます。
理由はいつも口ずさんでしまう「I Can’t Give Everything Away」のフレーズのすばらしさです。
- I Can’t Give Everything Away
さて、皆さんはいかがでしょうか?
© bluelady.jp
www.bluelady.jp – Recommended
これらのサウンドの融合が「★」を生み出しました。
それでも最高傑作は「★」なのです。
※Amazonにリンクします。
コメント
Linさん、いよいよ最後ですね。
私も大分前から「I Can’t Give Everything Away」に決めていましたよ。
本当に「★」が出た時は、その凄さに圧倒され、Bowieはこれからどうなるのだろうと思っていました。
そして丁度Linさんのブログにも「★」の凄さを投稿した矢先、リリースから3日後の訃報に驚きと失意を感じ、あの日はぼーっとして「★」を聴き続けました。
あれから半年近く経った今でも、Bowieの死は悲しいですが、私は15歳だった1972年から、この先の一生ずっと最後までBowieのファンであり続けるでしょう。
低迷期と言われた時期もありましたが、一度もぶれずに追い続けてきましたから。
そして私の人生の大部分に影響を与えてくれたBowieに、ありがとうと言いたいです。
aladdindogsさん、私がボウイの知ったのはaladdindogsさんから書き込みを頂いたときです。
それまで、「★」のすばらしさに舞い上がっていました。
「★」のページを複数ページに渡ってブログにアップしていますので、そのあたりの経緯がブログを読み返すとよく分かります。
失意のくれましたが、今では未発表曲をワクワクしながら待ってます。
1/11 の夕方、twitter でそのことを知りました。
何か現実のこととは思えずで。その日は、ライブハウスへ出かけたのですが、集中できませんでした。(因みに、MOST -PHEW のPUNKバンド-)
私は、自分でいうのも恥ずかしいのですが、音楽はぶれまくっています。
その時その時の興味・趣向で追いかけるアーティストは変わっていきました。
これからもそうだと思います。(Changes・・違う違う)
前作でBowie に復帰し最高作をリアルタイムで聴けたというのは、今となっては幸せなことと思っています。
「★」から選ぶなら皆さん同様、「I Can’t Give Everything Away」は外せないのですが、バックトラックを含め一番好きなこの曲を。
‘Tis a Pity She Was a Whore
たこべいさん、ありがとうございます。
ベスト・オブの企画ページが終了したので、ベスト・ソングをやります。
その前に日本語タイトルのピックアップページが2ページほど先行します。
ベスト・ソングはこれから考えます。
Linさん、こんばんは。皆様の熱い思いに良い意味で圧倒され、コメントが遅れてしまいました。ここに出ている’Tis a pity …もI can’t give… もどちらも甲乙つけがたいです。しかし、最高の辞世の句にもなった、I can’t give everything awayにいたします。私も数枚未聴のアルバムが残ってますが、それも含めて大事に聴き続けて行きたいと思います。
さむたいらさん、ありがとうございます。
今月のレコード・コレクターズを注文しました。
それを読んでから、ボウイのベスト・ソングをやってみます。
たこべいさんとの約束もあるので、最初は絞り込んだ形でベスト・ソングをピックアップした後に複数ページに渡って続けていきたいと考えています。
Earthring以降の作品がどれも好きになれなかった自分にとって★は真のカムバックアルバムだと思ってました。元black flagのヘンリーロリンズがベルリン3部作に匹敵するアルバムだと言ってたのもうなづけます。
Tis pity she was a whoreが緊張感高くボウイ最期のシャウトが聴けるので挙げさせていただきます。
>たこぺいさん 私もMOSTは何回か観てますσ(^_^;) 山本精一さんの大ファンでして。Phewもベルリン音源が素晴らしい♪
J さん、ありがとうございます。
うーむ、私の知らないアーティスト名がいっぱい出てきますね。
勉強します。
J さん、こんにちは。
phew の存在感、際立っていますよね。
運よくアントサリーも観ているのですが、衝撃的でした。
山本久土のファンでもあります。