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近年では「宇宙戦艦ヤマト」といえば劇場版・TVシリーズの「宇宙戦艦ヤマト2199」が思い出されます。
さらには「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」の制作が決定しています。
「宇宙戦艦ヤマト2199」は総監督・出渕裕で制作され、私も全作品DVDを観ています。
それなりに楽しめた作品で見事に初代「宇宙戦艦ヤマト」をリニューアルしていました。
「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」についてはシリーズ構成・脚本に福井晴敏の名前が挙がっています。監督は羽原信義に変わってしまうようです。
福井晴敏はあの「ガンダムUC」でも関わっていました。
それを思うと少し複雑です。
「ガンダムUC」も全作観た作品ですが、今となってはさっぱり記憶に残っていません。
富野由悠季の「ファースト・ガンダム」を越えられるはずもなく、今風にアレンジしただけで、ストーリーもシンプルではありません。
「宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」が「ガンダムUC」のような作品になるのなら、当時の作品を劇場で観た世代には受け入れられないでしょう。
……
「宇宙戦艦ヤマト」という作品から松本零士の名前が消えてしまったことは残念なことです。
今ではその世界は様々な利害関係者によって蹂躙されつつあるという見方を私はしています。
「宇宙戦艦ヤマト」と「宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」は傑作でしたが、その他の作品は駄作にすぎません。
これらの作品は松本零士がいなければ生み出されなかったでしょう。
そして、もう一人、私の好きな作家、豊田有恒の名前も忘れてはなりません。
豊田有恒が原案を提供した小説
宇宙戦艦ヤマト (ソノラマ文庫 4-A) image by Amazon
その昔、1975年のことです。
豊田有恒の原案によって石津嵐が著作した小説が出版されました。
それに先行すること数ヶ月。
秋田書店から松本零士のコミック「宇宙戦艦ヤマト」も出版されています。
私は豊田有恒が「宇宙戦艦ヤマト」に関わっていたことを知って、豊田有恒の著作による「宇宙戦艦ヤマト」の小説を熱望しましたが、叶わぬ夢となっています。
その代わり、この石津嵐版の小説を読むことが出来ました。
……
この小説のストーリーはアニメーションとは全く異なるものです。
違いを思いつくままにピックアップしてみます。
- 古代ススムと島大介は古代守の戦艦に同乗していた
- サーシャは波動エンジンの設計図を持って来たわけではありません、サーシャからのメッセージのみです。
- サーシャの乗ってきた宇宙船からエンジンは開発されて、沖田十三と郷田健吾の作った宇宙戦艦ヤマトに搭載されます。
- サーシャのメッセージにはイスカンダルとガミラスが二連星であることが明記されていた。
- 真田士郎→真田佐助
- 島大介は森雪にラブレターを書いてふられてしまった。
- 島大介はガミラスに捉えられ、サイボーグ化され、スパイとして真田を殺してしまった。
- キャプテン・ハーロックが登場する。
- 古代守=キャプテン・ハーロック
- スターシャは人工知能というべき存在
- サーシャはスターシャが創り出した「イメージ・ライフ」
- デスラーはスターシャを守るために生み出された「イメージ・ライフ」
- 放射能除去装置は無かった。
- 宇宙戦艦ヤマトの最後はスターシャを破壊するために突入した。
- 古代ススムと森雪は人体改造によって地球のアダムとイブ(?)となった。
少し記憶違いもあるかもしれませんが、だいたいこのようなものでした。
面白いのは松本零士のオリジナルキャラクター・キャプテンハーロックが登場していることです。
松本零士のコミック「宇宙戦艦ヤマト」が小説に先行して発売され、同作にも古代守を思わせるキャプテン・ハーロックが登場することから、松本零士の設定を拝借していることが分かります。
この小説の最後にも松本零士の許可を得ていることが明記されています。
つまり、石津嵐の「宇宙戦艦ヤマト」は豊田有恒の設定と松本零士の設定を折衷したものだということになります。
私のように豊田有恒、松本零士のファンにとってはたまらない作品だといえるでしょう。
実は私は最近やっとこの小説を読むことが出来ました。
出版されて41年も経っていますが、今だからこそ楽しめたような気がします。
興味の向きは是非読んでみて下さい。
今となっては中古本しかありません。
しかし、古い宇宙戦艦ヤマトのファンには楽しめる作品だと思います。
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