野田昌宏の「銀河乞食軍団」は和製スペースオペラの象徴的小説です。
何故かというと、世界観を示すための様々な固有名称がとにかく和風です。
星系の名前も「星古都(ほしふるみやこ)」「星河原(ほしのかわら)」「星涯(ほしのはて)」など、海外SFでは考えられない名称が付いています。
さらに、スペースオペラというと、かなりハードなものを想像してしまいますが、この「銀河乞食軍団」はソフトなのです。
ユーモアたっぷりに笑わせてくれます。
しかし、設定はハード。
このハードとソフトのバランス感覚が絶妙なのです。
銀河乞食軍団
銀河乞食軍団[1]―謎の故郷(ふるさと)消失事件― (ハヤカワ文庫JA) image by Amazon
タンポポ村の消失から、ただ独り助かった「パム」が「ピーター」「ロケ松」らと出会い、さらには「ムック・ホッファ」率いる「銀河乞食軍団」に助けられるところからストーリーはスタートします。
「銀河乞食軍団」のメンバー達は奇想天外な仕掛けやユーモアたっぷりの陥穽をしかけ、タンポポ村の消失の謎を解いていきます。
野田昌宏の軽妙な文章がストーリーの面白さを増しています。
また、登場する多くのキャラクターがとても魅力的なのが特徴です。
……
実は私がこのシリーズを読んだのは、わりと最近のことです。
発売当時の1982年は平井和正の「幻魔大戦」に熱を上げていた頃で、「銀河乞食軍団」を読んでいませんでした。
同時期に始まった田中芳樹の「銀河英雄伝説」すら、その頃は読んでいません。
当時は「銀河乞食軍団」と「銀河英雄伝説」は和製スペースオペラの人気を二分する大作として売れに売れていました。
……
今でも「銀河英雄伝説」はコミカライズ等で人気を持続している作品です。
しかし、この「銀河乞食軍団」はどうなのでしょうか?
私はこの2作品は日本のスペースオペラの歴史の中で、絶対に読んでおきたい小説だと思っています。
さらに痛快さは「銀河乞食軍団」の方が「銀河英雄伝説」より、はるかに勝っていると思います。
「銀河乞食軍団」は電子化を契機に読者を増やして欲しい作品です。
現状では第一部まで11巻の電子書籍化ですが、第二部、さらには外伝を含めた全21巻の刊行を期待しています。
……
惜しいのは電子書籍の表紙です。
加藤直之のカバーイラストを全て復刻して欲しかったのですが…
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