眉村卓の「不定期エスパー」も一人称小説です。
しかし、私の一人称小説のページでは取り扱いませんでした。
何故かというと。この小説は当時、読み始めてすぐに挫折してしまったからです。
不定期エスパー
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この「不定期エスパー」はSFアドベンチャーに連載された小説です。
雑誌を買ったときに、たまに見かけましたが、オープニングを読んでおらずスルーしていました。
しかし、新書版で発売された際にはすぐに飛びつきました。
小説のタイトルからしてスペースオペラと超能力戦が合体した娯楽作品を期待していたのです。
まず、読み始めると、この小説も一人称小説なのだと知りました。
この小説は「ぼく」を主体にした一人称小説だったのです。
「ぼく」の一人称小説
私が「ぼく」を主体にした一人称小説を初めて読んだのは、庄司薫の「赤ずきんちゃん気をつけて」だったと思います。
その後も「白鳥の歌なんか聞こえない」「さよなら快傑黒頭巾」「ぼくの大好きな青髭」と読み進めてしまい、「ぼく」で始まる小説は自己を吐露するような青春小説という固定観念を形成してしまいました。(薫君シリーズはとても面白かった。当時、読書嫌いの私が全巻読んでしまうほどでした。)
ハード・ボイルドとは全く関係ありませんし、娯楽小説でもありません。
ハードボイルドに対するならソフトボイルドです。
そのため「不定期エスパー」が「ぼく」によって語られはじめたとたんにタイトルからくる小説のイメージは破壊されてしまいました。
そのことで数ページしか読めないままに挫折してしまったのでした。
「不定期エスパー」に再挑戦
眉村卓の「不定期エスパー」は30年も前の小説です。
しかし、今でも読めなかったことを後悔しています。
この本の肩書き(小説ジャンル)は「スペース・オペラ」や「長篇SF」ではなく、「長篇青春冒険ロマン」となっています。
この肩書きもずっと気になっています。
30年前に挫折してしまったので、今度こそ読み通したいと思い、新書の古書を全巻購入しました。
すぐに電子化してしまい、Kobo Aura ONEの中に収まっています。
新書版のイラストは小林智美で、当時人気のイラストレーターでした。
田中芳樹の「七都市物語」もイラストは小林智美です。
読み始めると今では「ぼく」も全然気にならなくなりました。
内容はハードなのに(ソフトボイルドではありません)「ぼく」なのはエスパーとしての心情を語りやすいためでしょうか?
とても面白い作品。当時の人気がよく分かります。
この分なら全巻読了も近いのでは。
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