デヴィッド・ボウイがアルバム「トゥナイト」を発表したのは1984年。
大ヒットアルバム「レッツ・ダンス」の翌年のことです。
「トゥナイト」はあまりよい評価を受けていません。
私自身もそれほど好きなアルバムではありません。
しかし、アルバムにとらわれず、1984年〜1986年までのデヴィッド・ボウイを振り返ると、それほど悪くないのです。
※デヴィッド・ボウイのアルバムについて、このブログにアップしていたのは2015年のこと。2015年5月にアップした「レッツ・ダンス」の記事で、「トゥナイト」はまとめ記事のようになってたので、今回あらためて考えてみることにしました。
2曲しかボウイの曲がないアルバム「トゥナイト」
このアルバムの概要を説明しておきます。
デヴィッド・ボウイは「レッツ・ダンス」を発表し、その後シリアス・ムーンライト・ツアーを成功させます。
ツアー中は次のアルバムの事を考える余裕がありませんでした。さらにツアーと重なるように映画「ハンガー」と「戦場のメリークリスマス」が公開されていますので、その多忙さは想像するに難くありません。ツアー終了後はそうとうな疲れを覚えていたに違いありません。
そのような状況であるにもかかわらず、レコード会社からの要請もあり、すぐにアルバム「トゥナイト」の制作に着手することになります。
しかし、ボウイが用意した新曲は「Loving The Alien」「Blue Jean」の2曲のみ。
後はイギー・ポップとの共作曲とカバー曲によって「トゥナイト」は構成されています。
プロデュースはボウイ、デレク・グランブル、ヒュー・パジャムがクレジットされています。
デレク・グランブルとヒュー・パジャムは上手くいかなかったといわれています。
そんな状態ではよいアルバムに出来なかったのは仕方が無かったのかもしれません。
しかし、アルバムに捕らわれず、この時期のボウイの活動に目を向けると、ボウイの状態はまんざら悪くないということが分かります。
1984年から1986年のデヴィッド・ボウイ
1984年から1986年のデヴィッド・ボウイの状況を見てみましょう。
1984年
9月
・シングル「Bue Jean/Dancing With The Big Boys」リリース(英:最高6位、米:最高8位)
・アルバム「Tonight」リリース(英:最高1位、米:最高11位)
11月
・シングル「Tonight/Tumble And Twirl」リリース(英:最高53位、米:最高53位)1985年
2月
・シングル「This Is Not America」リリース(英:最高14位、米:最高32位)
5月
・シングル「Loving The Alien(remixed)/Don’t Look Down(remixed)」リリース(英:最高19位、米:チャート入りせず)
7月
・ライブ・エイドに出演8月
・シングル「Dancing In The Street」リリース(英:最高1位、米:最高7位)1986年
3月
・シングル「Absolute Beginners」リリース(英:最高2位、米:最高53位)
4月
・サントラ「Absolute Beginners」リリース(英:最高19位、米:最高62位)
6月
・シングル「Underground」リリース(英:最高21位、米:チャート入りせず)
・サントラ「Labyrinth」リリース(英:最高38位、米:最高68位)出典 「デヴィッド・ボウイ コンプリート・ワークス」 著者:パオロ・ヒューイット 発行所:TOブックス
「トゥナイト」からのシングルチャートをみると、アルバムの評価がどんどん下がっているのがよく分かります。
しかし、この時期には「This Is Not America」「Dancing In The Street」「Absolute Beginners」「Underground」といった代表曲がリリースされてもいるのです。
デヴィッド・ボウイの音楽活動は順風であるといえるでしょう。
「トゥナイト」は発表時期を間違っただけ
つまり「トゥナイト」の発表をもう少し遅らせていればよかったのです。
そうすれば、以下のようなアルバムが出来上がっていたのでは…
- Loving The Alien
- Blue Jean
- This Is Not America
- Whithin You
- Underground
- As The World Falls Down
- Absolute Beginners (Full Length Version)
こんなアルバムも聴いてみたかった気がします。
タイトルは「トゥナイト」にならなかったでしょうね。
© bluelady.jp
www.bluelady.jp – Recommended
※Amazonにリンクします。
コメント
僕はトゥナイトもネヴァーレットミーダウンも
評論家に酷評されていたので、その影響で悪い印象がありました。
ただ今となっては、その時代にボウイができることを
注ぎ込んで作ったアルバムだなと思えます。
「やる気がなかった。失敗作だ。」と本人はコメントしていますが
本心ではないと思います。
結果がどうあれ、ボウイは手抜きのアルバムは一切ありません。
大回顧展を見て確信しました。
名無しの音ちゃん、ありがとうございます。
ボウイ愛、感じます。
今後とも、よろしくお願いします。