出典:e文庫刊「BLUE HIGHWAYS」電子書籍表紙
平井和正の「BLUEシリーズ」は平井和正最後のシリーズ作品である。
残念ながら、平井和正の逝去によって、このシリーズは3作品のみである。
「マシナリー」という概念を生みだし、「21世紀8マン」とも言われ、古いファンには「8マン」の復活を思わせることになった。
しかし、十分に語られることが無かったことが悔やまれる。
当ブログは、この「BLUEシリーズ」の一つをブログ名称としていただいている。正式に許可を受けたわけではないが、熱烈なファンとして許していただきたいものである。
BLUEシリーズの構成
「BLUEシリーズ」は3作品(2作品?)。以下の3つである。
- BLUE HIGHWAYS
- ∞BLUE
- BLUE LADY
いずれも古い作品であり、今では全作品を読むことが難しくなっている。
BLUE HIGHWAYS
「BLUE HIGHWAYS」は「BLUEシリーズ」のなかで最初に発表された作品である。
ハードカバー版「幻魔大戦DNA 第1集」の付録として、2002年2月に手元に届くことになった。
この作品は唯一「8マン」の雰囲気をまとったものだった。
作品としては中・短編に分類されるもので、本命の「∞BLUE」の露払いとしての役割を持っている。
「8マン」の復活に対する期待がいやがうえにも高まった。
∞BLUE(インフィニティー・ブルー)
「∞BLUE」は2002年8月、駿台曜曜社から自費出版という形で発表された作品である。
ハードカバーで全4巻。後に集英社文庫に収録された。
電子書籍で発売されているので「BLUEシリーズ」のなかで、唯一、現在でも読むことが可能な作品だ。
もともと先行する告知では「21世紀8マン」というふれこみだった。
しかし、発表された作品はマフィアの兄弟の確執を語りはじめる。
「これが8マン?」
そんな思いであったが、重要なキャラクターのなかには8マンのヒロイン「サチコ」と同名の少女が登場する。
サイボーグを思わせる「マシナリー」というキーワードは提示されたが、何一つ具体的なことは語られなかった。
BLUE LADY
「BLUE LADY」は、2005年ルナテックから電子書籍の形で発表された「BLUEシリーズ」最後の作品である。
この作品が平井和正最後の作品ともなった。
しかし、これも中・短編にすぎない。
新しいキャラクターが登場するも、そこまでであった。
「BLUEシリーズ」は結局プロローグが発表されたのみで、平井和正の逝去によって頓挫することになったのである。
∞BLUE(インフィニティー・ブルー)はBLUEシリーズなのか
「∞BLUE」は「BLUEシリーズ」に含めないという見方もあるようだ。
しかし、私は「BLUEシリーズ」の一作品としている。
というのも、平井和正のオフィシャルサイトの「近況+」で以下のような文章が報告されたからだ。(現在では「近況+」は閉鎖されている)
「BLUE LADY」についての記述である。
タイトルは「新千年紀8マン登場(2004/07/25)」。
BLUE HIGHWAYSの直接的な続編というわけではないが、このBLUEシリーズは一種の象嵌構造を意図して書いている。∞BLUEとの連環もいずれ生じるという書き方であり、新千年紀8マンの全体像は数年後に出現するだろう。マシナリーという存在、ただいま大好評の攻殻機動隊のアニメに登場する電脳サイボーグとは一線を画するティストを持たせるつもりである。つまり1960年代の8マンとも異質なのだ。
この記述は「BLUE HIGHWAYS」「BLUE LADY」が「∞BLUE」の連環も生じる可能性があったということを明らかにしている。
ゆえに「∞BLUE」は「BLUEシリーズ」の一作としてとらえたい。
ここでも記されているように「マシナリー」が何なのかは、これから語られるはずだったのである。
まとめ
以上、平井和正最後のシリーズについてとりあげた。
「∞BLUE」というタイトルは「8」を寝かせて、「インフィニティー」と読ませている。「8」は言うまでもなく「8マン」から来ている。
その後、ボーイズグループの名称にも同じようなものがあったが、「∞BLUE」の完全なるパクリである。
平井和正は「∞BLUE」というタイトルについて自信のなさを語っていた記憶がある。
平井作品としては異質なタイトルであるが、このタイトルがどのような世界を表現していくものだったのか、十分に語られることがなかったことが、重ね重ね残念である。
「マシナリー」についても闇の中だ。
このページを当ブログの名称変更、URL変更に際して、アップする。
これを機に平井和正の作品を思い出して欲しい。
今読んでも傑作揃いである。
© infinity blue
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