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天使がかり 〜 ミカエル学校:平井和正の軌跡・高橋佳子氏との出会いと幻魔大戦執筆

平井和正の世界

「天使がかり」はコトダマ社から発行された「HIRAIST」 の章題である。
※「夜にかかる虹」では下巻に収録。「HIRAIST」は後に「夜にかかる虹」(上下巻分冊)というタイトルでリム出版から出版された。

平井作品を理解する上で非常に重要なキーワードであるので少し掘り下げてみたいと思う。

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高橋佳子氏との出会い

「HIRAIST」には巻末に佐々木君紀(※)の「平井和正の軌跡」がかかれている。
※あの「アトランティス」の作者。カナンロードシリーズはどうなったのでしょう?

「平井和正の軌跡」には、この時期(昭和51年、昭和52年)平井和正は人生の大転換をむかえたことが記載されている。作品としては「人狼白書」を執筆中であり、高橋佳子氏との出会いがあった。

「平井和正の軌跡」から引用すると

「この頃から氏は、「自動書記」「潜在意識から湧出する”力”」等の表現を使い、自分の創作上の神秘を説明しはじめている。
この時点で、ウルフガイの一連の作品は、犬神明の「お筆先」であるとの認識に達した氏は、実際に『人狼白書』の全文を資料皆無の状態で書き上げてしまう。」

人狼白書 アダルト・ウルフガイ
人狼白書 アダルト・ウルフガイ image by Amazon

この「人狼白書」から平井和正の作風は一変し、犬神明は宗教的指導者の印象を持ち始めた。今までの軽快な犬神明ではなくなってしまったのである。

このことは、高橋佳子氏との出会いによって、平井和正の人生の転轍機が切り替えられてしまったことに起因していると考えられる。

 

高橋氏は団体GLAを主宰し「ミカエル」と呼ばれる人である。私自身、彼女に関してはこの程度の知識しかない。GLAがどのような団体であったかは知らない。

氏の「真創世紀」は本屋で立ち読みした程度だ。

「平井和正の軌跡」によると、平井和正が高橋氏と関わりを持ったのは、昭和51年から54年までの3年ほど。以下、引用。

●「平井和正の軌跡」(佐々木君紀)
51年から52年にかけて、高橋佳子氏の『真創世紀』3部作の編集協力スタッフとして活躍。氏は高橋さんの教示と助言のもとに『幻魔大戦』執筆に不可欠な超常現象的な事柄を見聞し、物質主義的なものの見方の誤りと霊的存在の実際を確信した。
高橋佳子氏の主宰する団体GLAとの関わりについては、ただ一度、同団体の講師と一緒にパネル・ディスカッションをしている(52年6月)


53年には、高橋佳子氏の助言を受けた『人狼天使・3部作』『死霊狩り3』『若き狼の肖像』『新・幻魔大戦』などの作品を書きあげている。

●「天使がかり」(平井和正「奇想天外」1977/4 -「HIRAIST」より)
とにかく大天使の書記役として、昨年12月から約2カ月間、「ミカエルの本」製作に協力し、このほど完成させた。出版社は詳伝社、3月刊行の予定である。世界に類例のない本であって、強いて探せば、イマヌエル・スウェーデンボルクの「天使の秘儀」とか、「天国と地獄」といった奇書しか類書が思い当たらない。ともあれ大天使にしか書けない本であることは間違いない。3部作の1弾で、巻を追って「見えない世界」を解明し、真実の「創世記」を詳述することになっている。
大天使の薫陶を受けて、私も更生を誓い、頑張ることになってしまった。口の悪い友人たちは「神がかりの平井和正」と称しているが、正しくは「天使がかり」なのである。
そんなわけで、現在膨大な「ミカエル・インタビュー」を記録中。いずれ、この中からライフワークの「堕天使ルシフェル伝」や、「天使シリーズ」が生まれることになるであろう。ただし「ルシフェル伝」については、これを書こうと試みる者は怪死を遂げるそうなので、こちらも死ぬきで書かねばならない。しばらくお待ち下さい。今のところ天使の御用達を努めているので、この世に留まらなければならない。

●「私がただ一人の師と仰ぐ人」(平井和正 詳伝社刊「真創世紀・地獄編」1977/3/30 -「HIRAIST」より)
高橋佳子さんは、私がめぐりあったただ一人の師と仰ぐ人である。佳子さんと逢った瞬間、世界はみるみる鮮やかな変貌を遂げた。

このように高橋氏との出会いが、この後生まれてくる幻魔大戦集団の契機となっていることは間違いない。

この記事には続きがある。
それが「ミカエル学校」である。

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ミカエル学校

「ミカエル学校」が語られたのは、SFアドベンチャー増刊「幻魔宇宙」で発表された平井和正のあとがき小説「ビューティフル・ドリーマー」においてである。

1985年刊行の「高橋留美子の優しい世界」にも掲載されている。

1977年の「ミカエルを囲む会」の「ミカエル語録」の存在や彼女との対話等が小説として語られている。

興味の向きは「高橋留美子の優しい世界」を手にとっていただきたい。

 


平井氏の高橋氏に対する印象は後年変わっていくようである。
そのあたりを読み解くには以下の書籍がよいと思われる。

最後に「高橋留美子の優しい世界」についても紹介しておく。

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幻魔大戦 5巻 リム出版

幻魔大戦 (平井和正全集)
幻魔大戦 (平井和正全集) image by Amazon

※書影は1巻のもの

 

リム出版の「幻魔大戦・第5巻」には巻末に全集巻末新企画「平井和正「幻魔」を考える PART1」が掲載されている。

ここに真創世記を自ら9ヶ月を要して書き上げたことが記されている。

この企画は「幻魔大戦・第11巻」のPART6まで継続され、当時の状況・平井氏の心の変遷が明確だ。

 

夜にかかる虹

夜にかかる虹〈下〉
夜にかかる虹 image by Amazon

 

この書籍は平井氏のエッセイ集だ。
上下巻の2冊。

2001年当初の引用は「HIRAIST」となっているが、「HIRAIST」を2分冊して再版されたのが「夜にかかる虹」である。

私も最近この本は古書を手に入れたので、比較的、手に入りやすいと思われる。

 

高橋留美子の優しい世界

高橋留美子の優しい世界―「めぞん一刻」考 あとがき小説「ビューティフル・ドリーマー」
高橋留美子の優しい世界―「めぞん一刻」考 あとがき小説「ビューティフル・ドリーマー」 image by Amazon

 

「高橋留美子の優しい世界」に掲載されている「ビューティフル・ドリーマー」には、1977年の「ミカエルを囲む会」の「ミカエル語録」や彼女との対話等が語られている。
高橋氏の教団に身を置いた数ヶ月の体験が「幻魔大戦」を書く上で重要な期間であったことが分かる。

ビューティフル・ドリーマー

彼女の教団に身を置いた数ヶ月の体験が「幻魔大戦」を書く上で重要な期間であったことが分かる。
また、彼女が大きな存在ゆえに彼女からの離脱こそ「幻魔大戦」の原動力となったことが読みとれる。

「ビューティフル・ドリーマー」を契機に「ウルフガイ」が復活するわけだが、その後も、平井和正は「幻魔大戦」執筆時の状況を冷静に見つめ直している。

1986年には「SFアドベンチャー・8月号」誌上で「真創世紀」の真実が語られる。1976~1977年がやはり特殊な時期であったことが分かる。

そして1991年、リム出版刊での「幻魔大戦5」以降のあとがきにおいて当時の状況が語られることになるわけだ。(現在、e文庫刊の幻魔大戦1以降のあとがき)

このような状況を見ていくと、「幻魔大戦」は二度と物語られることはないように思えるのだが…

 

© bluelady.jp

オススメ


夜にかかる虹〈上〉
夜にかかる虹〈下〉
高橋留美子の優しい世界―「めぞん一刻」考 あとがき小説「ビューティフル・ドリーマー」
幻魔大戦 (平井和正全集)

by Amazon


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