Photo by Paul Williams
F1シーズンが終了して、シリーシーズンでは様々な興味深い記事が出てきています。
ホンダの低迷についての記事もおもしろいので、そのうち取り上げたいと思っています。
しかし、今回はロン・デニスの発言が興味をひきました。
それが以下の記事です。
今でもマクラーレンを率いるにふさわしい人間は自分だとロン・デニスは主張する。彼は、チームが2013年シーズンの前に犯したいくつかの過ちによって、今もその代償を払い続けていると考えている。
出典 マクラーレンを正せるのは私だとデニス(ESPN F1)
このページでは、この記事で言う2013年前後のマクラーレンの状況を見ていきます。
2012年のマクラーレン
「MP4-27」photo by Nic Redhead
2012年のF1はカーズ搭載のV8、2.4リッターエンジンを搭載していた時期です。
2011年、レッドブルのベッテルが圧倒的な速さを誇り、V2を達成しました。
その流れは2012年も続くと思われていました。
しかし、予想に反し開幕優勝を成し遂げたのはマクラーレンのジェンソン・バトンだったのです。
マクラーレンのドライバーラインナップは2010年からマクラーレンに加わったジェンソン・バトンとルイス・ハミルトン。
マシンはMP4-27。エンジンはメルセデスでした。
2012年F1の結果
2012年のF1は非常におもしろいシーズンでした。
結果から言うと、
- マクラーレン:7勝
- レッドブル:7勝
- フェラーリ:3勝
- メルセデス:1勝
- ウイリアムズ:1勝
- ロータス:1勝
となっています。
このように、どのチームが勝ってもおかしくない状況でした。
しかし、ドライバーズ・チャンピオンシップではベッテルとアロンソが僅差で争い、コンストラクターズではレッドブルとフェラーリがワン・ツーとなっています。
勝利数だけから見るとマクラーレンがチャンピオンとなってもおかしくないように見えますが、開幕戦で勝ったバトンは、その後、ピレリタイヤとのマッチングに苦しむことになります。
また、最速とも言われたマシンMP4-27は信頼性に欠け、ポイントを積み上げることが出来なかったのでした。
しかし、最強のベッテルとアロンソを敵に回し、7勝を上げたマシン性能は強力なものを持っていたことは事実です。
むしろ3勝で5勝のベッテルに3ポイント差しか無かったアロンソが、普通ではないドライバーだったと言えるかもしれません。
このアロンソの安定感によってマクラーレンはコンストラクターズで3位に沈んだのでした。
マネジメントの状況
2012年、ロン・デニスは会長に退き、CEOには、2009年からF1を率いてきたマーティン・ウィットマーシュが立っています。
ロン・デニスはF1から徐々に離れていくものと思われていました。
2013年以降のマクラーレン
「MP4-28」photo by Takayuki Suzuki
2013年はマクラーレンの変化の年でした。
2012年好成績を残したマシンMP4-27は捨てられ、新設計でMP4-28が投入されることになりました。
ドライバーはハミルトンがメルセデスに移籍しザウバーのドライバーだったセルジオ・ペレスが加入しています。
低迷の始まり
この年のマクラーレンは表彰台無し、最高位は4位で、コンストラクターズ・ポイントは5位と低迷しました。
この低迷はPUレギュレーションとなった2014年、ホンダとタッグを組んだ2015年と引き継がれることになります。
2014年の開幕戦、ケビン・マグヌッセンの3位を最後にマクラーレンは表彰台を獲得していません。
(2014年の開幕戦、レッドブルのダニエル・リカルドが2位に入りましたが、レギュレーション違反により結果を剥奪され、マグヌッセン2位、バトン3位と変わっています)
2014年のマネジメント体制
2013年の責任を負う形で、マーティン・ウィットマーシュは退くことになり、ロン・デニスがCEOに復帰します。
そして、レーシング・ディレクターはロータスから移籍したエリック・ブーリエとなり、ロン・デニスの片腕として働くことになったのでした。
過ちからの脱却
このページで見てきたように、現状のマクラーレンの低迷を生んだ原因は新設計のMP4-28にありました。
そして、多くの責任は、2013年のマーティン・ウィットマーシュ体制のマネジメントにあったと、ロン・デニスは言っています。
2012年のマシンMP4-27をそのまま進化させるべきだったというのです。
……
マクラーレンはその過ちから脱却するために、ドラスティックな改革を続けていきます。
2014年、突然のエリック・ブーリエのマクラーレン入りに驚きを隠せませんでした。
さらに、2015年、ホンダとのタッグを開始し、マシンはピーター・プロドロモウの設計したMP4/30を投入。
2013年以降の低迷を断ち切るための動きは、まだ始まったばかりです。
マクラーレン=ロン・デニス
マルボロとロン・デニスのプロジェクト4によって現在のマクラーレンが成立したことを思うと、やはりロン・デニスがマクラーレンを率いていないと違和感があります。
一時期、マーティン・ウィットマーシュがマクラーレンを率いたことに、時代の変遷を感じていました。
私の好きな大藪春彦の著作「アスファルトの虎」にもマクラーレンを率いるロン・デニスが出てきます。ヒーローの高見沢優はマクラーレンのドライバーでロン・デニスに「マッシー」と呼ばれていました。
ロン・デニスはマクラーレンそのものと言っても過言ではありません。
命の続く限り頑張ってもらいたいと思います。
© bluelady.jp
www.bluelady.jp – Recommended
アスファルトの虎(タイガー)〈PART1〉血と背徳の序曲(プレリュード) (角川文庫)
by Amazon
コメント