デヴィッド・ボウイはデビューから、グラムロック期(ジギー期)、ソウル期、ベルリン期というように、様々な音楽性を数枚のアルバムで渡り歩いてきました。
その音楽性の変化は、まさに驚きの連続で、ボウイほどリスナーを飽きさせないアーティストは他にいないでしょう。
中でもベルリン期の三枚のアルバムは「ベルリン三部作」といわれ、ボウイのキャリアの中でも特別な位置を占めてきました。
2002年以降のトニー・ヴィスコンティが戻ってきたアルバムも、将来は四部作として特別な呼び名をあたえられることでしょう。
このページでは様々なデヴィッド・ボウイの変化の歴史において、私が最も思い入れのある三部作のことを書きたいと思います。
私の三部作
デヴィッド・ボウイのキャリアで私が最も印象深い時期は「アウトサイド」〜「アワーズ」を発表した1995年〜1999年です。
この時期にリリースされたアルバムはどれもが個性の強いものでした。
ボウイは新しい音楽を模索するかのようにチャレンジしつづけた5年間だったのです。
あるいは、実験を続けた5年間といえるかもしれません。
その5年の間に発表された3枚のアルバムこそ、私のなかでは特別な三部作となっています。
猟奇的な世界をロックで作り上げた「アウトサイド」
アウトサイド(紙ジャケット仕様) image by Amazon
ブライアン・イーノとの共同プロデュースで作ったコンセプトアルバム。
このボウイの描いたジャケットからしてアートを感じます。
デヴィッド・ボウイのアルバムの中では最も暗い感じのするアルバムですが、様々なアーティストから支持されることになりました。
最近聴いたマリリン・マンソンの三部作もこれと似たようなオーラがあります。
今となっては聴きにくい「アースリング」
アースリング(紙ジャケット仕様) image by Amazon
「アースリング」はドラムンベースを取り入れた実験作。
ダンスなのかロックなのかというジャンル分けすら難しいほどに、ボウイが独自の音楽を作り上げたアルバムです。
セルフプロデュースの本作はジギー期の「ダイヤモンド・ドッグス」にも似たチャレンジが詰まったているのです。
しかし、デヴィッド・ボウイのキャリアの中では少し違和感があって、あまり聴かないアルバムになってしまいました。
老いていく自分と死を客観的に見つめた傑作「アワーズ」
「★」が自分のこととして直接的に死を見つめた傑作であるとすると、この「アワーズ」は客観的に老いと死に直面したアルバムとして対比できます。
私は今でもこのアルバムが大好きで、よく聴きます。
このアルバムは共同プロデュースにリーブス・ガブレルスを据えています。
ティン・マシーンからの彼とのつきあいは、このアルバムで最後となってしまいました。
「アワーズ」日本盤のライナーに吉井和哉氏の以下のような寄稿があります。
スゴイ、スゴ過ぎる。超最高だ。こんなことってあっていいのか?これだ、これが聴きたかったのだ。このウルトラ・スーパーB級な感じ、これがなんと言っても僕の中のボウイなんだ。こんなあったかいボウイはハンキー・ドリーと変名後のファースト(スペイス・オディティ)以来はじめて聴いた。
(以下省略)
この文こそ、私が「アワーズ」に感じた印象そのものです。
まとめ
この三部作は音楽的な変遷以外にも様々な側面を持っています。
プロデュースに着目すると
ブライアン・イーノ共同プロデュース→セルフプロデュース→リーブス・ガブレルス共同プロデュース
という流れになります。
また、デヴィッド・ボウイのキャリアの縮図にも見えます。
コンセプトアルバム→実験アルバム→自分を見つめた内省的なアルバム
これほど変化に富んだアルバムを次々に発表した1995年〜1999年はデビッド・ボウイの黄金期の一つと言っていいでしょう。
この三部作に上手い名前をつけることが出来ませんが、変化と実験にとんだ三部作をデヴィッド・ボウイのキャリアの中で、もっと重要な位置に押し上げてもらいたいと思います。
ただ、ベルリン三部作、後期トニー・ヴィスコンティとの四部作が素晴らしすぎて、この三部作は埋もれてしまいそうですね。
© bluelady.jp
コメント
この三枚を取り上げるなんて、流石です。僕もアースリングは違和感あるけど、ボウイらしい挑戦で好感を持ってます。
ユーリルワンダ リルワンダユーというフレーズはたまらなく好きです。
カラアゲボーイさん、ありがとうございます。
たぶん私がデヴィッド・ボウイを強く意識した頃と重なるので、この3つのアルバムが特別なんだと思います。
しかし、何度もこのブログで書いていますが「アワーズ」は傑作だと思います。
こんにちは。私は全時期を通して、特に、Buddha of………とoutside earthring好きですよ。2000年以降も大好きだけど、この三枚とhoursは、リアルタイムより、davidの歳と今の自分の年に近い時に聞いたせいか、earthringも違和感ないです。
明日もう一度.寺田倉庫に、この衣装を見に行きます。
ばななさん、ありがとうございます。
今日でDavid Bowie isは最終日ですね。
これからもボウイのことを思い出しながら頑張っていきたいです。
めちゃ混みでした。あんなにファンがいたんだ。。そっちにびっくりです。雨の中建物外まで長蛇の列。。早めに行ったので、列ばずにすみまました。
最後の音ありの部屋が良かったです。あの音と映像だけのDVDが出て欲しいです。
寺田倉庫は知り合いが企画しているので、後日色々きいてみたいです。
ばななさん、大変でしたね。
最終日の日曜日と想像するだけで、ものすごい状況を思い浮かべてしまいました。
私が行ったときもけっこう混んでて、展示物の文字はほとんど読めませんでした。
最後の部屋はディスプレイが良かったですね。
私ももう一度行きたかったですが、交通費だけでも大変なので、1日きりです。
良い思い出になりました。