小説の形態の上で、主人公目線で語られるものを「一人称小説」といいます。
ちなみに客観的な目線で語られる場合は「三人称小説」というわけです。
私にとって「一人称小説」は特別です。
何故かというと、若い頃、平井和正のアダルトウルフガイ・シリーズ「狼男だよ」に感情移入してしまったからです。
このシリーズは「おれ」(主人公:犬神明)で語られた小説です。
一時期「一人称小説」を好んで読んだことがありました。
ウルフガイ・シリーズ以外に私が好きな小説を少しピックアップしてみます。
サイボーグ・ブルース(平井和正)
同じく平井和正の小説。
サイバー・パンクの傑作です。
この小説もまた「一人称小説」です。
ただ、ウルフガイとちがって「私」(主人公:アーネスト・ライト)によって語られています。
おれの血は他人の血(筒井康隆)
筒井康隆コレクションIVおれの血は他人の血 image by Amazon
筒井康隆の小説の中で、これほど娯楽性の強い作品はないのでは?
気の弱いサラリーマンが逆上すると怪力男になり、暴れ回るという痛快な作品です。
二重人格や狼男といった題材をハードボイルドに混ぜ込んだような感じでしょうか?
私は筒井康隆で一番面白いと思います。
この小説も「おれ」(主人公:絹川良介)で語られた傑作です。
異次元神話(豊田有恒)
豊田有恒が平井和正の世界に殴り込みをかけたような作品。
主人公の「八巻一郎」はウルフガイの犬神明とダブります。
職業も同じルポライター。
この作品も「おれ」です。
魔性菩薩(夢枕獏)
魔性菩薩(上) (祥伝社文庫) image by Amazon
夢枕獏の創造した超破天荒なキャラクター・毒島獣太が活躍する作品です。
ナルシストで女好き、だけど強い。超A級サイコダイバーです。
毒島獣太のシリーズには他にも「黄金獣」「呪禁道士」があり、「新・魔獣シリーズ」にも毒島獣太が登場します。
サイコダイバーには重いストーリーが多いですが、毒島獣太の作品は少し軽めです。(ひるこが登場するからでしょうか?)
この作品も毒島獣太目線の「おれ」で語られています。
まとめ
私の場合SF好きなので上記の様な作品をピックアップしてしまいました。
どれもSFでありながらハードボイルドタッチに仕上げられた娯楽作品です。
平井和正や筒井康隆、豊田有恒らの作品はダシール・ハメットやレイモンド・チャンドラーの影響を受けていると思われます。
夢枕獏の世代では、すでにSF作品とハードボイルドの融合は当たり前の様に開拓されたジャンルになっていたはずです。
ここでピックアップした作品はとてつもなく面白いものばかりです。
未読の方は是非チャレンジしてみて下さい。
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