少し前のニュースで火星の地表にカニそっくりの生物が写っている写真が公開されて話題を集めました。
テレビで写真を見ましたが、スケール感がつかめず、眉唾だと思っていました。
ところが今度は「火星に水が存在する」というNASAの発表です。
そうすると、生命がいてもおかしくないという裏付けともとらえられ、前回のカニのニュースがリアリティーを持って感じられるようになりました。
昔から火星人と言えばタコやクラゲの様な存在をイメージします。
これはH.G.ウェルズの「宇宙戦争」のイメージだと思われます。
しかし、火星を舞台にした小説には、そんなバケモノのような生物ではなく普通の人類が登場するものが多数あります。
火星に思いをはせることで、私の頭に浮かんだこのページで取り上げるような小説でした。
まずは、ジョン・カーターの予告編でもみながら、イメージを膨らませましょう。
火星のプリンセス(エドガー・ライス・バローズ)
すでに古典となってしまった作品ですが、私の少年期にはエドガー・ライス・バローズはバリバリの現役(作者は亡くなっていましたが、作品としては超有名という意味)でした。
火星のプリンセス―合本版・火星シリーズ〈第1集〉 (創元SF文庫) image by Amazon
この本を書店で見つけたとき懐かしさのあまり購入しました。
再読しようとしたのですが、以下の火星シリーズ3冊の合本版で800ページを超える本です。
- 火星のプリンス
- 火星の女神イサス
- 火星の大元帥カーター
そのまま本棚で眠ってしまうことになったのでした。
しかし、武部本一郎さんの「デジャー・ソリス」の美しさだけはしっかりと堪能いたしました。
「火星のプリンス」だけは、少年期に読んでいるのですが、2012年の映画化までストーリーを思い出すことはありませんでした。
映画や小説に登場するのはウェルズの小説に出てくるような火星人ではありませんが、地球よりはるかに進んだ科学を持った野蛮人という様相です。
科学と人のアンバランスさはあまり好きになれません。
しかし、どういうわけか、私が思い出す小説は科学力と人類の生活感がミスマッチなものばかりです。
野獣の都(マイクル・ムアコック)
物質移送機で太古の火星に転移してしまった物理学者「マイクル・ケイン」の活躍を描くシリーズです。
野獣の都 〔永遠の戦士 ケイン〕 (ハヤカワ文庫SF) image by Amazon
これも以下の「火星の戦士シリーズ」3冊の合本版です。ページ数は650ページを超えます。
- 野獣の都
- 蜘蛛の王
- 鳥人の森
この小説のヒーローが転送されたのが「太古の火星」だったため、どちらかというと「ヒロイック・ファンタジー」の分類のストーリーになっています。
この小説にも「シザーラ」というヒロインが登場します。デジャー・ソリスと対をはる存在で、このような人物配置や設定が各所に見られることから、「火星のプリンセス」のオマージュ作品であることが分かります。
しかし、この作品はオマージュというだけでなく、ムアコックのライフワーク「エターナル・チャンピオン」の作品でもあるのです。
栗本薫さんの「グイン・サーガ」ファンの私はバロウズよりこちらの作品の方に親和性がありました。
バロウズ・ファンもムアコック・ファンもどちらも楽しめる作品です。
シャンブロウ(C.L.ムーア)
同じく火星を舞台にした作品ですが、主人公のノースウェスト・スミスは熱線銃一丁で星を渡り歩くヒーローです。
シャンブロウ (ダーク・ファンタジー・コレクション) image by Amazon
上の写真の本は以下の合本版です。
- 大宇宙の魔女
- 異次元の女王
- 暗黒の妖精
買うなら松本零士さんがイラストを担当したハヤカワ文庫版がいいのですが、すでに絶版となっています(中古本なら手に入れられると思います)。
なぜ、松本零士さんの本がいいかというと、松本零士作品の世界観と同一といえるほどの作品だからです。
ノースウェスト・スミスは若い頃のキャプテン・ハーロックとそっくりです。
松本零士さんもこのノースウェスト・スミスにかなり影響を受けているのではないかと思います。
松本零士ファンも必読の小説です。
また、このシャンブロウという作品はSF小説好きならその名前が必ず聞こえてくるというヒロイン「シャンブロウ」が登場します。
SFファンにも必携の作品です。
シャンブロウがどういう存在なのか、是非確かめてみて下さい。
書き忘れていましたが、ムアコックの「火星の戦士シリーズ」も最初に発売された文庫は松本零士さんのイラストでした。
「ノースウェスト・スミス・シリーズ」と「火星の戦士シリーズ」のイラストは以下の本で堪能できます。
松本零士の美女幻影 (Gakken Mook) image by Amazon
© bluelady.jp
オススメ
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