「絵師」という言葉を知ったのは、それほど昔ではありません。
イラストレーターと言っていただいた方が私には分かりやすいのですが、若者には「絵師」と行った方が通りやすいみたいです。
その「絵師」が世界の名画を描いたらこうなったというグラフィック集が「絵師で彩る世界の名画」です。
この本には「絵師」を切り口として世界の名画の解説も施されているのです。
「若者に文化を伝える功績を果たそうとしている」という意味でとても重要な本に思えました。
世界の名画が身近になった
絵師で彩る世界の名画 ([実用品]) image by Amazon
世界の名画というととても遠い感じがします。
なぜかというと、美術館に行かないと見ることが出来ないからです。
昔なら美術館もデートコースになったかもしれませんが、今の若者が美術館をデートコースには選ぶことは少ないのではないでしょうか。
そう考えると若者が名画に接する機会はほとんど教科書しかないのではないでしょう。
教科書で見せられるモノほどつまらないものはないと思ってしまうのは私だけではないはずです。
つまり、名画といったものは若者の心を掴むパワーを失った過去の遺物に過ぎなくなってしまったのです。
……
そうした時代に新しい切り口で名画を紹介しようとしている本が「絵師で彩る世界の名画」です。
この本の導入には以下のような章が続きます。
- 美術史年表(原始からバロックまで)
- 美術史年表(ロココから現代までのアート)
- 名画を模写しよう
- 名画の探求と模写の研究
この導入部がただのイラスト集ではないことを物語っています。
文化を広めるための書物であることは間違いありません。
ただし、お仕着せでないところがこのイラスト集の優れたところです。
好きなイラストレーター「絵師」の作品を見ることで自然に名画が身近になってきます。
このような書籍こそ現代に必要な書籍だと思います。
名画と絵師
各絵師の作品(名画の再生作品)は以下です。
書籍には作品名(作者)絵師の順で目次が振られていましたが、この本の趣旨であれば絵師から目次を振るべきだと思いますので、ここでは目次を改訂して掲載しておきます。
絵師で彩る世界の名画
この書籍はSIDE AとSIDE Bに分かれているのですが、意図が分かりませでした。
SIDE A
- 絵師:吉岡愛理 - 「眠れるジプシーの女」アンリ・ルソー
- 絵師:乃希 - 「蛇使いの女」アンリ・ルソー
- 絵師:緋原ヨウ - 「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」ピエール=オーギュスト=ルノワール
- 絵師:木屋町 - 「誕生日」マルク・シャガール
- 絵師:れんた - 「牛乳を注ぐ女」 ヨハネス・フェルメール
- 絵師:ウスダヒロ - 「ヴィーナスの誕生」 サンドロ・ボッティチェリ
- 絵師:ATARU - 「春(プリマヴェーラ)」サンドロ・ボッティチェリ
- 絵師:totomo - 「オフィーリア」 ジョン・エヴァレット・ミレイ
- 絵師:アカパネ - 「民衆を導く自由の女神」ウジェーヌ・ドラクロワ
- 絵師:姫神ドロップ - 「タヒチの女」 ポール・ゴーギャン
- 絵師:kona - 「 女官たち(ラス・メニーナス)」 ディエゴ・ベラスケス
- 絵師:ほるまりん - 「 アヴィニョンの娘たち」 パブロ・ピカソ
- 絵師:七原しえ - 「 四大陸」ピーテル・パウル・ルーベンス
- 絵師:ななひめ - 「タンホイザー序曲(ピアノを弾く若い娘)」ポール・セザンヌ
- 絵師:坂本ロクタク - 「草上の昼食」 エドゥアール・マネ
- 絵師:希 - 「白のシンフォニー No.3」ジェームズ・マニクール・ホイッスラー
- 絵師:Gia - 「メデューズ号の筏」テオドール・ジェリコー
- 絵師:しがらき - 「フォリー・ベルジェールのバー」エドゥアール・マネ
- 絵師:七輝翼 - 「夜警」 レンブラント・ファン・レイン
- 絵師:*zoff - 「我、アルカディアにもあり」グエルチーノ
- 絵師:へびつかい - 「赤い部屋」アンリ・マティス
- 絵師:れつまる - 「農民の婚宴」ピーテル・ブリューゲル
- 絵師:山鳥おふう - 「落穂拾い」 ジャン= フランソワ・ミレー
- 絵師:和音 - 「ぶらんこ」ジャン=オノレ・フラゴナール
- 絵師:亀小屋サト - 「風神雷神図屏風」 俵屋 宗達
- 絵師:いっさ - 「相馬の古内裏」歌川 国芳
SIDE B
- 絵師:和遥キナ - 「真珠の耳飾りの少女」 ヨハネス・フェルメール
- 絵師:みよしの - 「接吻」 グスタフ・クリムト
- 絵師:朝日川日和 - 「ピアノを弾く少女たち」ピエール=オーギュスト・ルノワール
- 絵師:lack - 「ディヴァン・ジャポネ」アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック
- 絵師:聡間まこと - 「ベルナール峠からアルプスを越えるボナパルト」ジャック=ルイ・ダヴィッド
- 絵師:エイチ - 「日傘をさす女」クロード・モネ
- 絵師:柚希きひろ - 「ラ・ジャポネ―ズ」クロード・モネ
- 絵師:鯖夢 - 「シャルル七世の戴冠式 ジャンヌ・ダルク」ドミニク・アングル
- 絵師:能義たか好 - 「井戸端の若い女と子供」カミーユ・ピサロ
- 絵師:依存 - 「舞台の踊り子」 エドガー・ドガ
- 絵師:卯月 - 「オルフェウスの首を運ぶトラキアの娘」 ギュスターヴ・モロー
- 絵師:ica - 「ひまわり」 フィンセント・ファン・ゴッホ
- 絵師:水上タツアキ - 「叫び」 ムンク
- 絵師:しろ - 「婦人相学十躰・ビードロ(ぽっぴん)を吹く娘」 喜多川 歌麿
- 絵師:士基軽太 - 「雪中相合傘」 鈴木 春信
- 絵師:いろりこ - 「黄道十二宮」アルフォンス・ミュシャ
……絵師のペンネームはとても打ち込みにくいですね。
私の主観ですが名画よりも絵師の書いたイラストの方が優れていると感じるものもあります。
例えば以下のようなものです。
- 絵師:吉岡愛理 - 「眠れるジプシーの女」アンリ・ルソー
- 絵師:坂本ロクタク - 「草上の昼食」 エドゥアール・マネ
- 絵師:へびつかい - 「赤い部屋」アンリ・マティス
- 絵師:lack - 「ディヴァン・ジャポネ」アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック
- 絵師:士基軽太 - 「雪中相合傘」 鈴木 春信
上記は単純に個人の好みによるものです。
しかし、この本を購入した方はきっとお気に入りの絵師のイラストと名画を発見できることでしょう。
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