Photo by admiral.ironbombs
余湖裕輝さんのツイッターでエルリックのハードカバーコミックが出版されていることを知りました。
エルリックといえば、荒川弘さんの「鋼の錬金術師」を思い出される方もいらっしゃるかと思います。
しかし、今回紹介するコミックは「鋼の錬金術師」ではありません。
マイクル・ムアコックのエターナル・チャンピオンシリーズです。
そのシリーズの中でも私が最も好きなメルニボネの皇子・エルリックのコミックなのでした。
これを知った私はすぐさまAmazonで購入しました。
エターナル・チャンピオン(永遠の戦士)シリーズはヒロイック・ファンタジーの傑作です。たとえ洋書であろうと手に入れないわけにはいかなかったのでした。
※冒頭のイメージはムアコックの同シリーズの洋書ですが、今回紹介するコミック本とは関係ありません。
Michael Moorcook ELRIC – The Ruby Throne
Michael Moorcock’s Elric Vol. 1: The Ruby Throne image by Amazon
まさかハードカバーのコミックが出ているとは思いもよりませんでした。
この本は前述したように洋書です。
原作はマイクル・ムアコックの「永遠の戦士エルリック」で、以下のようなスタッフでコミック化されています。
ストーリー構成
- Julien Blondel
アーティスト & カラーリスト
- Robin Recht
- Didier Poli
- Jean Bastide
装丁
この本が届いてまず思ったのは「本が薄い」ということです。
ハードカバーであることからもっと分厚い本を想像していました。
背の部分で8ミリほどしかありません。
しかし、チープなものではありません。
ページを開いた瞬間に圧倒的なクオリティーのイラストに魅了されることは間違いないでしょう。
オールカラー:64ページです。
コミックが50ページほどで、あとは作品世界のイントロと設定資料になってます。
湖川友謙+美樹本晴彦のような絵柄
私ぐらいの年齢になると伝説巨神イデオンの湖川友謙とマクロス(愛おぼえていますか)のころの美樹本晴彦を足して2で割ったような絵柄と表現したくなります。
たぶん、この表現でほぼ内容を想像できた方もいらっしゃるんじゃないでしょうか?
とにかく素晴らしくカッコイイ(余湖裕輝さんも「これがまたえらいカッコいい。」とツイートされてます)のです。
どうしてこれが日本語で出ないのか?
とても嘆かわしい限りです。
湖川友謙さんや美樹本晴彦さんは海外のコミックに影響を受けた方だったのだと、今になって認識しました。(時代が違うので逆に海外の方が影響されている可能性もありますけど…)
英語なので、まず小説を読む
イラストのクオリティーに魅了されることしきりなのですが、英語なのでストーリーが全く分かりません。
しようがないので、小説を読むことにしました。
このコミックは小説「永遠の戦士エルリック1 メルニボネの皇子」の「第4章:<混沌の神>の召喚」のあたりまでのストーリーになります。
メルニボネの皇子―永遠の戦士エルリック〈1〉 (ハヤカワ文庫SF) image by Amazon
小説のイメージよりコミックの方が血なまぐさい世界観を持っているように感じました。
エルリックは文句なくカッコイイですし、サイモリルも美人。
やっぱりコミックはそのまま見ることが出来るので、印象深いですね。
ただ、小説で120ページほどの内容がコミックにすると50ページぐらいになってしまってます。
英語が分かったとしてもコミックだけ読んでストーリーが分かるかどうか、はなはだ疑問です。
アルビノの皇子:エルリック
エルリック「ELRIC」はアンチヒーローといわれています。
彼はアルビノとして生まれつき、薬を飲まなければ力も出ない皇子なのです。
しかし、永遠の戦士として次元を越えて戦い続けるマイクル・ムアコックが想像した特別なヒーローでもあります。
最も魅力的なのは彼を操る(「彼が」ではない)魔剣「ストームブリンガー」の存在です。
「ストームブリンガー」はエルリックの意のままにならず、抜き放たれたが最後、血を求めるのです。
あたかもバンパイヤのような魅力を持つ魔剣が、エルリックシリーズになくてはならない存在感をはなっています。
コミックではエルリックが真性のヒーロー然として描かれているために混沌の神に翻弄される様を描き切れないかもしれません。
このコミックのストーリーでは、まだ「ストームブリンガー」は出てきません。設定資料のみです。
混沌の神:アリオッホ
小説との一番のギャップは混沌の神:アリオッホの描写です。
英語では「ARIOCH」となっていました。
昔の小説では「アリオッチ」と訳されていたと思いますが、新版の小説では「アリオッホ」となっています。
私としてはどちらも嫌いで、「アリオック」などと訳してくれた方がいいのに…と思ったりもします。
コミックは「アリオッホ」が登場するシーンで終わってしまいます。
そのシーンを初めて見て「神様なのにこんな子どもみたいなイラストなのか?」と驚きを隠せませんでした。
小説でも「美しい若者」という描写になっていますので、子どもみたいな感じでもいいんでしょうね?
ただ小説の方には「さきの蠅と同じ笑みを浮かべた。」という描写があって、実像を想像できませんでした。
巻末の設定資料の「アリオッホ」のイラストはまるで悪ガキです。こちらは納得出来ません。
本編の子どものような「アリオッホ」の方が、まだましでした。
その他の登場人物
アリオッホ以外は概ね納得できるイラスト設定になっていました。
以下に、エルリック以外の登場人物をあげておきます。
SADRIC:サドリック86世。エルリックの父。
YYRKOON:イイルクーン。エルリックの従兄。魔術師。エルリックを殺し、王位を奪おうとするが失敗。サイモリルを連れて行方をくらましてしまう。
CYMORIL:サイモリル。エルリックの恋人。イイルクーンの妹。イイルクーン同様魔術を使う(弱い魔術)。エルリックを愛していて、兄のイイルクーンにはつらくあたる。
DYVIM TVAR:ダイヴィム・トヴァー。<竜の洞>の長。メルニボネでは数少ないエルリックの友人。
DOCTOR JEST:ジェスト博士。奇妙な薬を使って侵略者を拷問する。
SADRIC以外のキャラクターはELRIC、ARIOCHも含めて巻末に設定資料があります。
……
既に2巻「STORMBRINGER」も発売されてます。
こちらも注文しましたが、時間がかかりそうです。
待てない方は電子本もあります。
Elric Vol. 1: The Ruby Throne image by Amazon
Elric Vol. 2: Stormbringer image by Amazon
でも、やっぱりハードカバーの本が欲しい私は、本の到着を首を長くして待つのでした。
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Michael Moorcock’s Elric Vol. 1: The Ruby Throne
Michael Moorcock’s Elric Vol. 2: Stormbringer
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