平井作品の中で漱石の猫君を彷彿とさせるキャラクターがいる。
それは「アンドロイドお雪」に登場する「サイボーグ猫ダイ」だ。
アンドロイドお雪に登場する監視するもの
アンドロイドお雪 (角川文庫 緑 383-5) image by Amazon
「アンドロイドお雪」はダイの徘徊するシーンで始まる。
「ダイ」はサイボーグであるから言葉もしゃべる。
ちょっとなまりがあるのは口の形が猫だからだろうか?
もともと放浪癖がある猫のようで300階をはるかに越える超高層ビルの壁面をはい回り、
住人の生活を観察するのを日課としている。
つるつるの壁面も脚部の吸盤で難なく移動することが出来るのだ。
この光景を想像すると・・・、スパイダーマンみたいだ。
こんな猫だから人の秘密もついつい知ってしまって、作中ではのっぴきならない状況に陥ってしまう。
「アンドロイドお雪」のハードなストーリー展開のなかにあって、ほっとするキャラクターだ。
サイボーグ猫ダイ
サイボーグ猫ダイとは英語でどう書くのかを考えてみた。
「Cyborg Cat Die」
これだと「死」が名前になってしまう。
名付けるのは少し酷である。
「Cyborg Cat Dai」
これは「大ちゃん」のイメージでシリアスな平井作品には、全くそぐわない。
「Cyborg Cat Di」
私はこれなんじゃないかと思った。
女性の「Diana」のニックネームだ。
ところがどうも話し言葉がオスのようなのだ。
フォスとの会話で「ボク」といっている箇所を発見して、悲しくなった。
やっぱり「Cyborg Cat Die」なのかな?
アンドロイドお雪はミステリー作品
「アンドロイドお雪」は平井和正の初期作品であり、サイバーパンクの代表的な作品だ。
しかし、単純なSFではなくミステリーの要素をふんだんに盛り込んである。
クライマックスの「お雪」と「ケイ」の対峙がみどころ。
主人公かと思われた「野坂警部補」だが、実は翻弄される存在に過ぎない。
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