スパイダーマンの映画化が決定されたとき、平井和正を思いだした。
スパイダーマンは平井さんが最後に手がけた漫画原作だったのだ。
しかし、私は同題の漫画を読んでいない。
少年マガジン誌上において池上遼一氏の人気を高めた作品として有名だったらしいが、1969年当時、一度もふれたことのない作品だった。
その後、1976年朝日ソノラマから全8巻、1986年朝日ソノラマから全5巻、新装版が刊行される。このときは平井作品であることは知りながら、漫画に興味をもたず。表紙を眺めた程度で終わった。
平井和正版スパイダーマンの背景
スパイダーマン (1) (MF文庫) image by Amazon
スパイダーマンは平井和正の原作作品としては得意な存在だ。
アメリカコミックにオリジナルを持つため全くの雇われライターとしての仕事であったらしい。
当時(1970年)の平井和正は前年の「狼男だよ」改竄騒動のため小説家としての仕事を干された状況でやむなく受けた仕事のようだ。
スパイダーマンの原作は全編に渡っておらず、途中からの参加である。朝日ソノラマ刊では8巻に渡るシリーズの内、1、3、5巻は平井和正とは無縁である。
このほどの映画化を契機に池上遼一名義でメディアファクトリー文庫として1、2巻が刊行された。私はすぐさま手に取ったが、平井和正のクレジットは見あたらず、残念な思いをした。
手元にある「HIRAIST」には朝日ソノラマ刊の2、4、6巻に掲載されたあとがき「さらばスパイダーマン」があるが、ここからは全ての原作ストーリーのタイトルが分からないので、メディアファクトリー刊の「スパイダーマン」に平井和正原作分が含まれているかどうか判断がつかない。
スパイダーマンは、苦渋のなか雇われライターとして手がけた作品ではあったが、この原作ストーリーから平井作品と相関するものもあるようだ。
スパイダーマン4巻掲載の「冬の女」の原作は「悪夢のかたち」に掲載された「死を蒔く女」である。
また、この作品は「悪霊の女王」とも関わっているらしい。
スパイダーマン6巻掲載の「金色の目の魔女」は「魔女の標的」の原型、また「精霊への道」は同時進行中の「狼の紋章」のネガ像であることが「さらばスパイダーマン」において告白されている。
(David Bowie 「hours…」を聴きながら)
つづく
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