「ネバー・レット・ミー・ダウン(Never Let Me Down)」は、デヴィッド・ボウイの歴史の中で、最も酷評されるアルバムです。
しかし、2018年にサウンドをリプロダクトしたアルバムが登場して、そこまで悪いアルバムじゃなかったということが証明されました。
ネバー・レット・ミー・ダウン(Never Let Me Down)
Never Let Me Down [ENHANCED CD] image by Amazon
このアルバムの発表は1987年4月27日。「トゥナイト」発表から2年半が経過していました。
ユニークなのは、アルバム発表前、メディア向けにグラス・スパイダー・ツアーが行われたことでしょう。
このツアーで、新アルバム「ネバー・レット・ミー・ダウン」から代表曲が先行公開されています。
グラス・スパイダー・ツアーは当時評判が悪く、ボウイのパフォーマンスの低下が取りざたされたようです。(グラス・スパイダー・ツアーはアルバム発表後の5月に正式スタートしています。1987年5月〜11月)
Glass Spider Tour-Deluxe image by Amazon
私もDVDを観たとき、このライブはいかがなものかと思いました。
音楽を聴くというよりは、まるで寸劇を見せられるといった感じです。
セットが大きく、派手な演出が馴染めませんでした。
受話器を片手に「Glass Spider」を歌うボウイに違和感がありましたし、ステージの上で跳ね回るダンサー達はまるでショッカーのようです。
小林幸子のように巨大な衣装を着たダンサーもいます。
とにかくダンサーが目立ちすぎで、ボウイは脇役に回ってしまったかのようでした。
今となっては、とても貴重な映像ですが…
……
アルバムの方もボウイの他のアルバムに比べればインパクトがありませんでした。
しかし、ボウイは「ネバー・レット・ミー・ダウン」の数曲で政治問題や社会問題に触れるという新しい試みにチャレンジしています。
そんな試みも派手な演出と薄っぺらいサウンドプロデュースによって、見えなくなってしまいました。
Blah-Blah-Blah image by Amazon
1986年10月にデヴィッド・ボウイがプロデュースに参加したイギー・ポップのアルバム「Blah Blah Blah」が発売されています。
「Blah Blah Blah」の方は好調で、それまで売れなかったイギー・ポップは完全復活しています。
少しメローなきらいはあるものの「Winners & Losers」や「Little Miss Emperor」ではイギー・ポップらしさを引き出しました。
こちらはリピート再生に耐えます。
デヴィッド・ボウイの神通力は「Blah Blah Blah」で使い果たされてしまったのでしょうか。
……
「ネバー・レット・ミー・ダウン」の再発版からは「Too Dizzy」が入っていません。
なんとも気の抜けたようなデヴィッド・ボウイのボーカルが特長(?)のこの曲は、ボウイの経歴から葬り去られてしまいました。
「ネバー・レット・ミー・ダウン(Never Let Me Down)」は入っていた曲が無くなってしまうという世にも珍しいアルバムとして記憶されたのでした。
ネバー・レット・ミー・ダウン(2018年ヴァージョン)
デヴィッド・ボウイの2018年BOX「LOVING THE ALIEN 1983-1988」によって「ネバー・レット・ミー・ダウン」のサウンドは生まれ変わりました。
マリオ・マクナルティが新たに制作し、ミュージシャンにはリーブス・ガブレルス、スターリン・キャンベル、デヴィッド・トーン、ティム・ルフェーブル、ニコ・マーリー、ローリー・アンダーソンらの名前を連ねます。
リプロダクトされた新鮮なサウンドによって、まるで違うアルバムを聴いているかのようです。
ここまでサウンドが違うとデヴィッド・ボウイのボーカルが昔のままなのが惜しい気がします。
かなうことならデヴィッド・ボウイの新ボーカルで聴きたかったです。
……
「ネバー・レット・ミー・ダウン」は(Japanese Version)がもうすぐ発売されます。(2019年2月27日発売予定)
これには2019年リマスターの「Girls」が収録されます。
新サウンドじゃないのが残念です。
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