image by Jason Hickey
デヴィッド・ボウイのアルバム「ロウ」と「ヒーローズ」を聴いた時、馴染めなかったのは、ボーカル・パートとアンビエント・パートを持っていたということに起因します。
アルバムとして未完成なアンバランスさを感じました。
それはA・B面のレコードとして発売されたものをCDで通して聴いた際の違和感だったのです。そのため僕はボーカル曲ばかり集めたプレイリストを作ったりしていました。
「オール・セインツ」は僕が作っていたプレイリストとは真逆で、アンビエントのみを集めたものになっています。
そして、ボウイのアンビエント・ワークスとして最高の完成度を持って提供されたのでした。
オリジナルは家族と知人に送った、たった50枚のプライベートCD
All Saints: Collected Instrumentals 1977-1999 image by Amazon
このアルバムは家族と知人に送ったアンビエント・ワークスを集めた2枚組のプライベートCDが元になっています。
違いは以下です。
オリジナルCD:2枚組18曲編成
「ロウ」「ヒーローズ」「ブラック・タイ・ホワイト・ノイズ」「ブッタ・オブ・サバービア」のインスト曲+フィリップ・グラスの「ロウ・シンフォニー」の「Some Are」の構成
Disc1
- Warszawa(ロウ)
- Some Are(ロウ・シンフォニー)
- Subterraneans(ロウ)
- Moss Garden(ヒーローズ)
- Sense Of Doubt(ヒーローズ)
- Neuköln(ヒーローズ)
- Art Decade(ロウ)
- The Mysteries(ブッタ・オブ・サバービア)
- Ian Fish, U. K. Heir(ブッタ・オブ・サバービア)
Disc2
- Abdulmajid(ヒーローズ:ライコ版ボーナストラック)
- South Horizon(ブッタ・オブ・サバービア)
- Weeping Wall(ロウ)
- Pallas Athena(ブラック・タイ・ホワイト・ノイズ)
- A New Career In A New Town(ロウ)
- The Wedding(ブラック・タイ・ホワイト・ノイズ)
- V-2 Schneider(ヒーローズ)
- Looking For Lester(ブラック・タイ・ホワイト・ノイズ)
- All Saints(ロウ:ライコ版ボーナストラック)
オール・セインツ:16曲編成
オリジナル版から「ブラック・タイ・ホワイト・ノイズ」の曲と「ブッタ・オブ・サバービア」の「South Horizon」がカットされ、代わりに「Crystal Japan」と「アワーズ」の「Brilliant Adventure」が追加されています。
- A New Career In A New Town(ロウ)
- V-2 Schneider(ヒーローズ)
- Abdulmajid(ヒーローズ:ライコ版ボーナストラック)
- Weeping Wall(ロウ)
- All Saints(ロウ:ライコ版ボーナストラック)
- Art Decade(ロウ)
- Crystal Japan(1980年シングル:宝焼酎のTVCM曲)
- Brilliant Adventure(アワーズ)
- Sense Of Doubt(ヒーローズ)
- Moss Garden(ヒーローズ)
- Neuköln(ヒーローズ)
- The Mysteries(ブッタ・オブ・サバービア)
- Ian Fish, U. K. Heir(ブッタ・オブ・サバービア)
- Subterraneans(ロウ)
- Warszawa(ロウ)
- Some Are(ロウ・シンフォニー)
ライコのボーナストラックに入っていた2曲が秀逸
このアルバムを通して聴いたとき、「ロウ」や「ヒーローズ」の不完全さが払拭され、アンビエントワークスとしてのすばらしさが立ち上がってきたのです。
このアルバムによって、僕のアンビエントへの苦手意識は完全に消えることになりました。
そればかりか、ボウイの才能の豊かさを敬意をもって再認識したのでした。
驚きだったのは「Abdulmajid」と「All Saints」という名曲が「ロウ」「ヒーローズ」のオリジナルアルバムに入らず、ライコ版が発表されるまで眠っていたということです。
「All Saints」はこのアルバムのタイトル曲にもなっています。
どちらも大好きな曲です。
フィリップ・グラスの2つのシンフォニック・アルバム
フィリップ・グラスによって「ロウ」と「ヒーローズ」のアンビエントは交響曲となって蘇ります。
それが「ロウ・シンフォニー(1993)」と「ヒーローズ・シンフォニー(1997)」です。
ロウ・シンフォニー収録曲
- Subterraneans
- Some Are
- Warszawa
ヒーローズ・シンフォニー収録曲
- Heroes
- Abdulmajid
- Sense Of Doubt
- Sons Of The Silent Age
- Neuköln
- V-2 Schneider
この2枚のアルバムはボウイ、イーノ、グラスの3つの才能の結実です。
ボウイファンなら必携のアルバムと言えます。ぜひ交響曲となったボウイの曲の壮大さを感じてください。
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オールセインツ〈インストゥルメンタル1977-1999〉
Heroes Symphony / Low Symphony
ロウ・シンフォニーとヒーローズ・シンフォニーがセットになったものもあります。
by Amazon
コメント
つい先ごろ、BOWIEがツアー活動を引退したとの悲しいニュースもありましたが、過去に何度か発言を覆していますので、復活を期待しましょう。
米サイトでの最新BOWIE全アルバムベスト順位が発表されましたが、
1位「ロウ」
2位「ハンキードリー」
3位「ジギー・スターダスト」
4位「ステイション・トゥ・ステイション」
5位「ヒーローズ」
と言ったちょっと意外な順位。
なくもないですけどね。
aladdindogs さま
ありがとうございます。
このBest5は発表が古いところから選んでますね。
私なら
1位「ヒーザン」
2位「ジギー・スターダスト」
3位「ステイション・トゥ・ステイション」
4位「ヒーローズ」
5位「アワーズ」
ん?
あんまり変わらなかったですか?
タワレコでボウイスペシャルの本CROSSBEATを注文しました。
セブンイレブン受け取りなら、送料タダです。(早ければ、ポスター付きます)
aladdindogs さま
ありがとうございます。早速注文せねばと思い、Amazonへ行ってみたら10月5日に注文済みでした。(私はAmazon派です。)
「ファイヴ・イヤーズ 1969 – 1973徹底解剖」が楽しみですね。
日本版と発売日が同じなので、同梱されてくると思います。
※さまざまな事情があってハンドルネームがローマ字になりました。しかも下3文字。