特別な作家が誰にでもいると思います。
私にとっては平井和正がそうです。栗本薫や大藪春彦、竹島将、荻原規子、上橋菜穂子 らもそうです。
そして、山田風太郎も…
ジャンルを規定できない作家
山田風太郎は2001年、79歳でなくなるまで、様々な著作を世に出してくれました。
没後も菊地秀行やせがわまさき等、多くの作家がリスペクトし、山田風太郎作品のオマージュやコミック作品を発表しています。
しかし、やはり本人の作品に勝るものはありません。
山田風太郎の作品は忍法帖シリーズが最も有名ですが、それだけではありません。
山田風太郎の作品は大別すると以下の4つになると言われています。
- 忍法帖
- 明治もの
- 推理もの
- 時代もの
どの分野に分類したらいいのか迷う作品もあります。
山田風太郎の作品を読みふけった時期があるので、たくさん本を持っているのですが、積ん読の作品も多く、記憶が薄れ始めた今では読んでいる本と読んでいない本を分類することも難しくなってきました。
忍法帖
山田風太郎では、誰でも知っているのが忍法帖です。
魔界転生
中でも最も有名なのは沢田研二が天草四郎を演じ映画にもなった「魔界転生」ではないでしょうか?
この作品には「忍法帖」と言う言葉がついていません。
実は改題された作品で、発表当初「おぼろ忍法帖」というタイトルがついていました。
私が好きな忍法帖は以下の2編です。
忍者月影抄
この作品は江戸と尾張の戦い。
忍法合戦という意味では山田風太郎の得意とする展開です。
しかし、忍法がとにかく凄まじい。
忍法帖作品の中で群を抜いています。
外道忍法帖
この作品の舞台がたまらなく好きです。
天草四郎、由井正雪、クリストファー・フェレイラ等の登場する時代。
異国情緒もあふれ、妖しさも頂点に達します。
平井和正の「新幻魔大戦」も、この時代です。
忍者月影抄と外道忍法帖は河出文庫の忍法帖シリーズ。
このシリーズにはもう一つ作品があります。
それが信玄忍法帖です。
この作品もあわせておすすめです。
河出文庫のシリーズは3冊のみなので読んでない方は全て読んでみて下さい。
明治もの
明治ものでは警視庁草紙が必読。
警視庁草紙
明治ものの第一作がこの作品です。
警視総監・川路利良と元奉行の駒井相模守との戦いが軸となっていますが、ミステリー要素も含んでいて読み応えのある作品です。
推理もの
忍法帖のような奇想天外な作品とは対極をなすものです。
青春探偵団
こういったユーモアたっぷりのジュブナイル作品も書ける山田風太郎はものすごい人です。
時代もの
妖異金瓶梅や妖説太閤記等、史実に虚構を取り混ぜていく手法は、半村良の作品の様でもあります。
私が山田風太郎の最高傑作と思っている作品も時代ものに分類されます。
八犬傳
誰がなんといっても山田風太郎の最高傑作はこの八犬傳です。
滝澤馬琴と葛飾北斎との関わりが、実の世界の叙情を生み、虚の世界では南総里見八犬伝の物語が進行する。
この本を読まずして、死することあたわずです。
その他
その他にも山田風太郎は偉業を成し遂げています。
それが人間臨終図鑑です。
人間臨終図鑑
人間臨終図鑑は歴史上の著名人の死に様を綴った記録書です。
文庫で4巻出ています。
十代で死んだ「八百屋お七」から始まり、百代で死んだ「泉重千代」まで。
その死の記録は貴重な歴史書となっています。
このほか、たくさんの傑作を生み出した山田風太郎という作家に大感謝です。
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八犬傳(上)<八犬傳> (角川文庫)
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