「スペイス・オディティ」は、プロデューサーに、盟友:トニー・ヴィスコンティを迎えて制作されたアルバムで、リリース時のアルバム名は「David Bowie」(英)です。
アメリカでは「Man of Words,Man of Music」というタイトルでリリースされています。
デラム・レーベルから発表されたファーストアルバムから2年、フィリプスに移籍して再デビューとなったため、どちらのアルバムも「David Bowie」となってしまいます。
後にRCAが権利を買い取り「スペイス・オディティ(Space Oddity)」にタイトルを変更、再発されました。
ティラノザウルス・レックスを手掛けていたトニー・ヴィスコンティのプロデュース作品だが…
アポロ11号の月面着陸を中継するBBCの放送で採用されたのがシングル「スペイス・オディティ」です。
スペイス・オディティはTV用のデモフィルムの1曲として、フィリップスとの契約前に既に完成しており、アポロ計画にあわせて再録・シングルリリースされています。(スペイス・オディティのプロデュースはガス・ダッジョン)
そのヒットを受けて制作されたのが、トニー・ヴィスコンティをプロデューサーに迎えたアルバム「David Bowie(スペイス・オディティ)」というわけです。
しかし、トニー・ヴィスコンティはこのシングル曲のみプロデュースを断ったとされています。(アポロ計画と同時に売り出した曲のプロモーションが気に入らなかったため)
皮肉にもこの曲が後のアルバムのタイトルとなり、デヴィッド・ボウイはロック・スターへの道を歩み始めることになりました。
デラムのファーストアルバムからこのアルバムへの進歩が想像できない
デラムのアルバムはかなりクラシカルな雰囲気があり、ミュージカルのようなテイストも含まれていますので、スペイス・オディティのフォーク・ロック路線とは全く違うものです。
これらの2枚のアルバムの間には2年という歳月が流れていますし、レコード会社も違います。
前作はお世辞にも褒められたものではないのですが、スペイス・オディティはかなり聴けるアルバムとなっています。
この進歩の間には何があったのでしょうか?
デビッド・ボウイはこの期間に音楽活動を離れ、仏教を学んだり、リンゼイ・ケンプの興行に加わってパントマイムを習得したりしています。
それが、「スペイス・オディティ」という時代にマッチした1曲で、音楽シーンに返り咲くことが出来たのですから、かなり劇的なことに違いありません。
そのドラマは想像を絶するものがあるように思います。
スペイス・オディティのジャケット
アルバム「スペイス・オディティ」は前述したようにレコード会社をまたいでいますので、ジャケットが数種類存在します。
CD版の発売の際にさらにジャケットに変更が加えられていますので、現在写真がある範囲で紹介します。
英フィリップス、アルバム「David Bowie」のジャケット
40周年記念盤CDはオリジナルのジャケットを復活させています。
※40周年バージョンでは3曲目の「Don’t Sit Down」が削除されています。
コメント参照:aladdindogsさま、ありがとうございました。
Space Oddity (40th Anniversary Edition) by EMI 【並行輸入品】 image by Amazon
米マーキュリー、アルバム「Man of Words, Man of Music」のジャケット
マーキュリーのジャケットはもうネットで探しても珍しいくらいになりました。
参照 David Bowie – Man of Words, Man of Music LP(RECORDMECCA)
RCA再発版のジャケット
ライコディスクCD版もこのジャケット
※RCA版では3曲目の「Don’t Sit Down」が削除されていますが、ライコディスク版CDには「Don’t Sit Down」が復活しています。
EMIリマスターCD版のジャケット
フィリップス版に戻っていますが、下部に「SPACE ODDITY」のタイトルが入れてあります。
※3曲目「Don’t Sit Down」あり
スペイス・オディティの楽曲について
このアルバムはボブ・ディランの影響を受けているようですが、プログレッシブと言われていたり、アシッド・フォークと言われていたり、ジャンルは様々なものに当てはまるようです。
ジャンルで縛るのは無意味な作品のようですね。
やはり1曲目「Space Oddity」は別格です。
私は5曲目「Cygnet Committee」も好きかも。
いずれもアコースティックな12絃ギターの金属音が美しいです。
このアルバムを完成させたボウイはミック・ロンソンをバンドに迎え入れ、ハイプ(ボウイ、ミック・ロンソン、トニー・ヴィスコンティ、ジョン・ケンブリッジら)を結成。ライブ活動やラジオ番組等に取り組むことになります。
この時点で後のジギー・スターダストにつながる基礎が築かれたのでした。
……
デヴィッド・ボウイのバイオグラフィーは以下で上手くまとめてありますので、そちらもご参照下さい。
参照 「魅せられし変容の軌跡を辿る」STRANGE FASCINATION
参照 「デヴィッド・ボウイ」sonymusic.co.jp公式サイト
© bluelady.jp
www.bluelady.jp – Recommended
※Amazonにリンクします。
コメント
やまりんさん、こんにちは。
いつも楽しいBowieのアルバム解説、ありがとうございます。
「Don’t sit Down」ですが、40周年記念盤にも収録はされています。
クレジットはありませんが、2曲目の最後に入っています。
1969年のオリジナル発表時より、アメリカ盤には収録されず、1972のRCA再発時には世界的にカットされてしまい、1990年RYKOの再発時にやっと再収録されました。
当時のゾウイー君(現ダンカン・ジョーンズ)対して即興で録音された、微笑ましい一曲ですよね。
aladdindogsさま
当方のミスをご指摘いただき、ありがとうございます。
実は、私はスペイス・オディティの40周年記念版を輸入盤と日本版の2枚とも購入したのですが、どちらも購入時点のビニールがかかったまま、きいたことがありませんでした。
ジャケットの背面のラインナップのみで、記述してしまいました。
すみません。
そうでしたか。
でも、まさか2枚目のボーナスマテリアルを聴いないなんて事はないですよね。
これでしか聴けない超貴重なトラックが沢山収録されてますので。
本当にこれと「STS」のデカBOXが出た時は、飛び上がって喜びましたよ。
aladdindogsさま
まったく恥ずかしいのですが、Space Oddityの40周年記念版は輸入盤・日本版ともに封を切っていませんので、2枚目のCD聴いていません。早速オープンして聴いてみます。
Station to StationのBOXはオープンしております。1976年のNassau ColiseumのLiveはちゃんと聴いております。
実は他にも封を切っていないものがありますが…(ジギーの記念版が何枚もあったりして…ひょっとするとアラジン・セインもあるかも…)
やまりんさん、今回の記事から逸れてしまって申し訳ありませんが、「ジギスタ30周年」が出ると聞いた時も、そりゃ大喜びしましたが、いざ出てみると、
ディスク1と2のディスクピクチャーが逆。
ディスクを入れる紙袋が破れて取れる。
ディスク1も2もステレオトラックが左右逆。
曲のスタートやエンディングの音が途切れている。
ざっと、こんなあほなポカをEMIはやらかしました。当然、すぐさま回収となりました。
その後、2回出し直しがあり、最終的にディスク1の逆ステレオと音ギレは修正され、袋も破れ難く作り直されましたが、ピクチャーディスクは直されず、袋の位置を前と後ろを入れ換えるという安上がりな修正に落ち着きました。
なんでピクチャーを直さず、袋の位置を換えたか?
その答えは、ディスク2は逆ステレオのまま、作り直さず再使用したからです。
ライコ盤のボートラと聞き比べれば、すぐに分かります。
EMIは40周年盤も、あんな具合でしたから、パーロフォン盤の45周年盤か50周年盤で驚く様な貴重トラックを収録した、まともな記念盤を出して貰いたいものです。
長々とコメントしてしまい、すみませんでした。
aladdindogsさま
詳しいコメントをありがとうございます。
私も回収騒ぎのあった記念版を買いました。
たぶん、そのまま手元に置いてあるはずです。
たくさんジギースターダストのアルバムがあるので、今となっては、どれがどれなのか見た目では分からなくなってしまいました。
そのうち、記念版やコンピレーションについても、このブログで取り上げてみたいと思っています。
今回のような間違いがありましたら、また、ご指摘いただけるとうれしいです。