平井和正の耽美小説(?)「月光魔術團」が電子書籍で発売されました。
この「月光魔術團」がアスペクトノベルスで発売されたのが1996年です。
「月光魔術團」が書店で耽美小説のジャンルに分類されていて驚いたのは17年前のことでした。
まだ、平井和正の書籍が本屋で売られていた良い時代でした。
月光魔術團
「月光魔術團」の電子書籍が泉谷あゆみのイラストで電子書籍完全版として復活いたしました。
このシリーズは「第Ⅱ部 ウルフガイDNA」「第Ⅲ部 幻魔大戦DNA」として発展していきます。
最初に出版されたときには全37巻の大シリーズに育つとは思ってもみませんでした。
……
この月光魔術團の頃から平井和正の作風は少し変わっていったと記憶しています。
それまで言霊使いとしての使命を感じる作品群を数多く世に出してきた平井和正は、この作品以降、小説を書くことを楽しんでいるように感じられるのです。
作品自体から平井和正の喜びが伝わってきました。
さらに、読者をどこに連れて行こうとしているのか先の読めないマジカルなストーリー傾向も強まっていきました。
そうした平井和正の変節を知る上でも重要な作品です。
しかし、まずは平井和正の作品群を読んだ経験を全て初期化して、新しい作家の作品を読むつもりで、この小説に挑んで下さい。
37冊もの作品が、新鮮な感動と、豊かな時間をもたらしてくれるはずです。
あとがきと解説に感涙
この電子書籍には初出時のあとがきと解説がついています。
あとがきは「さらば、野獣の刻」。
大藪春彦の急逝に際した平井和正の強い思いがつづられています。
これを読むと大藪春彦や平井和正が私の青春時代の象徴であったことを思いだしてしまいます。
いまでもこの2大作家の小説は今時の作家とは別格に位置します。
……
解説は七月鏡一の「月光魔術團の開幕 – 放課後の少年少女たちへ」です。
この解説には強い共感を覚えました。
まさしく同じ思いで平井作品に触れていたことを思い出します。
私の場合は授業中にも「狼の紋章」や「狼の怨歌」を読みふけっていましたが…
次の平井作品の電子化は…
すでに公式ツイッターで「地球樹の女神」の電子化出版が近いことが告知されています。
しかし、私が最も電子化して欲しい作品は別の作品です。
既に読んではいるものの、電子書籍端末で読みたい作品。
それが「ABDUCTION」です。
一度も書籍化されたことがない作品で(※改稿前の気まぐれバスを除きます)、私はPC画面で全巻読んだのですが、画面での読書体験が味気なく感じられました。
作品の面白さは平井作品のなかで一二を争います。
なるべく早い「ABDUCTIONシリーズ」全巻の電子化を切望しています。
刊行ラインナップ
月光魔術團1 春の魔法使い
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月光魔術團2 素敵なフェイク
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月光魔術團3 ぷりてぃーばっどがーるず
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月光魔術團4 噛み癖あり、性悪子犬
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(続刊が待ち遠しいです。)
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