デヴィッド・ボウイの最重要アルバムの一つ、ブライアン・イーノとの共同プロデュース作「1.OUTSIDE」の中で、どの曲をピックアップしようかと迷いました。
私の場合、このアルバムほどボウイを感じるものはありません。
見事に知的なアルバムでネイサン・アドラーの日記(ベビー・グレース・ブルーの儀祭殺人事件)を扱ったコンセプトアルバムです。
私は1999年頃からのデヴィッド・ボウイのファンなのでボウイのコンセプトアルバムというと、このアルバムがまっ先に思い出されます。
ザ・モーテル(レオン・ブランクによって歌われるために)- The Motel To be sung by Leon Blank
「ザ・モーテル」には(レオン・ブランクによって歌われるために)という副題が付いています。
「1.OUTSIDE」はコンセプトアルバムといっても「ジギー・スターダスト」のように一人のヒーローがいるわけではありません。
猟奇殺人の周りに様々なキャラクターが配置されていて、その個々のキャラクターによる曲で構成されています。
「ザ・モーテル」はレオン・ブランクが歌う曲というわけです。
ボーカルはボウイのみなので、この曲はボウイがレオン・ブランクを演じているとも言えます。
ボウイはこのアルバム世界において、ベビー・グレース・ブルーの儀祭殺人事件に登場する全てのキャラクターを演じているのです。
そのような手法が「ジギー・スターダスト」とは全く異なっています。
仮想世界を作り上げた手法としては「ダイヤモンドの犬」の方が近いかもしれません。
……
レオン・ブランクはベビー・グレース・ブルーの儀祭殺人事件の最重要容疑者です。
しかし、「ザ・モーテル」はアルバムの中で最も美しいサウンドを持っています。
マイク・ガーソンのピアノによるところが大きいのでしょうが、容疑者に歌わせながらも、美しいと感じられることが、この曲の傑作たる所以です。
この美しさは「アラジン・セイン」の「Lady Grinning Soul」を連想させてくれます。
このように70年代の傑作アルバムに繫がっていくような雰囲気の「ザ・モーテル」はボウイの中でも屈指の名曲と言えると思うのです。
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