平井和正の初期長篇「アンドロイドお雪」が電子書籍で発売されました。
「アンドロイドお雪」は平井和正の長篇2作目の小説です。
表紙は角川文庫版と同じ生賴範義のイラストですが、e文庫の出版のようです。
アンドロイドお雪
長篇第一作の「メガロポリスの虎」が難産だったのに比べ、この「アンドロイドお雪」はすいすい書けたといった平井和正のコメントをどこかで読んだ気がします。
「アンドロイドお雪」は初期の平井和正お得意のサイバーパンク小説。
数年前に再読したのですが、寄る年波で記憶が薄れてしまいました。
覚えている限りで紹介しておきます。
……
主人公は野坂刑事。
野坂は知り合いの五反田老人から遺産として女性型アンドロイド「お雪」をもらい受けます。
そのアンドロイドは人間と変わらないほど精巧な超A級アンドロイドだったのです。
恋愛感情が芽生えてしまう「お雪」の行動が野坂を窮地に追いやるのですが…
恋人のケイと「お雪」との間で野坂の日常は次第に壊れていきます。
……
ハードボイルドとミステリー、SFを混ぜ合わせて平井和正独特の世界を作り上げた傑作長篇。
冒頭の「我が輩は猫である」を思わせるサイボーグ猫「ダイ」。
「狼の紋章」に登場する山本家の犬「フォス」と同じ名前をもつサイボーグ犬。
「新幻魔大戦」の香川千波が陥れられた「ESP賦活剤」の設定にも似た「幻想剤」というギミック。
…等々、平井作品の原型となるアイディアがちりばめられています。
代表作「サイボーグ・ブルース」に至る前の重要な作品であり、フィリップ・K・ディックとの類似点も指摘される平井和正の初期作品としては押さえておかなければならないでしょう。
……
この電子化にあたって巻末には、立風書房版とハヤカワSF文庫版のあとがき、川又千秋による角川文庫版の解説が収められました。
立風書房版のあとがきは、はじめて目にする方もいらっしゃるのでは?
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