平井和正の短編掲載「SFショートストーリー傑作セレクション」時間篇・ロボット篇・異次元篇（汐文社）

アマゾンで「平井和正」を検索すると、まったく見たことも無い書籍がヒットします。

しばらくの間、無関係な本だと思い込んでいました。

ところが、それらの本には平井和正の短編小説が掲載されていたのです。

SFショートストーリー傑作セレクション

汐文社から単行本として発売されている（現在は3巻目が未発売）「SFショートストーリー傑作セレクション」に平井和正の短編が掲載されます。

汐文社は児童向けの出版社なので、こどもをターゲットとした書籍です。

平井和正にも児童文学向けの小説があるのです。

以前は「月光学園（ふしぎ文学館）」という本が出版されたこともあります。

月光学園 (ふしぎ文学館) image by Amazon

この本については以下のページをご参照下さい。

さて、今回の出版は日本SF黎明期を代表する作家の作品を集めたアンソロジーです。
平井和正以外にも小松左京、筒井康隆らの作品が掲載されています。

「時間篇」「ロボット篇」「異次元篇」の3冊にまとめられます。
編者は日下三蔵です。

時間篇人の心はタイムマシン/時の渦 (SFショートストーリー傑作セレクション) image by Amazon

「時間篇」には平井和正唯一のジュブナイル短編集「美女の青い影」に掲載された「人の心はタイムマシン」が収録されています。

過去に出会った少女の記憶を消そうとするお話し。
記憶を消去できるようになった未来のショートショートストーリーです。

ロボット篇幽霊ロボット/ヴォミーサ (SFショートストーリー傑作セレクション) image by Amazon

「ロボット篇」には短編集「悪夢のかたち」から「ロボットは泣かない」が選ばれました。

平井和正の短編作品にはサイボーグ、ロボットといった非人間を愛するストーリーが散見されます。
「ロボットは泣かない」も同様の物語です。
人間の醜さを浮き彫りにするためこのような手法が用いられています。

異次元篇　次元を駈ける恋／潮の匂い (SFショートストーリー傑作セレクション) image by Amazon

「異次元篇」に収録されたのは「虎は暗闇より」から「次元を駈ける恋」です。

平井和正お得意の多元宇宙ものです。
「ボヘミアンガラス・ストリート」に通じるようなストーリーです。類似するものではないので「原石」ととらえた方がよいでしょう。

このような形で平井和正の作品がまとめられていくことは、とても喜ばしいです。

若い読者が増えることで、平井和正の作品が永遠のものとなっていくことを期待します。

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