Photo by amika_san
2015年9月27日、晴天の鈴鹿サーキットで日本グランプリが開催されました。
そこで、私たちが見たのはマクラーレン・ホンダの非力さとドライバーたちの悲痛な叫びでした。
既にF1のコアなファンにはホンダのパワーユニットが失敗作だと分かっていました。
しかし、ホンダを知る日本のファン全てにその事実が露呈したのが、日本GPだったのです。
「GP2のエンジンかよ?」
F1中継でもアロンソの叫びが聞こえました。音声は何を言っているのか聞き取りにくかったのですが、レース後の報道では印象的に扱われています。
参照:フェルナンド・アロンソ、レース中に怒りの無線 「GP2のエンジンかよ!」(F1-Gate.com)
参照:フェルナンド・アロンソ 「恥ずかしいレース」 / F1日本GP(F1-Gate.com)
前半戦のフェルナンド・アロンソはポジティブな発言が多く、後半戦での巻き返しを期待していたに違いありません。
しかし、メルセデス、フェラーリ、ルノーらのエンジンアップデートによって、その期待は裏切られ、最低のエンジンに堕してしまったホンダエンジンに対する苛立ちが、この日本GPで爆発することとなってしまいました。
ストレートで簡単に抜き去られるパワーの出ないマシンは下位カテゴリーのGP2マシンと比肩するしかなかったのです。
F1でトップドライバーのひとりであるアロンソだからこそ、最低のマシンだとしても11位に入る検討を見せたのでした。
「刀を持たないサムライ戦士」
ジェンソン・バトンもレース後のインタビューで印象的な言葉を残しています。
参照:ジェンソン・バトン、現状を嘆く 「まるで刀を持たないサムライ戦士」(F1-Gate.com)
あまりにも非力なマシンによって、戦うことも出来ない状況を嘆いてます。
このようなマシンにワールド・チャンピオンの2人が乗って、経験もない新人ドライバーや持参金だけが取り柄のドライバーたちにストレートであっさり抜かれる状況に憤りを感じます。
ストレートで他のマシンに太刀打ち出来ない非力なエンジンをホンダが創り上げてしまったことが信じられません。
「サイズゼロ」コンセプトへの困難な挑戦
マクラーレンとホンダの挑戦は「サイズゼロ」パッケージへの挑戦です。
参照:ホンダが目指す究極のF1マシン。「サイズ・ゼロ」コンセプトとは?(Number Web)
しかし、そのコンパクト設計への挑戦はエネルギー回生システム(ERS)のデプロイメント(アシスト量)の問題に発展してしまいました。
この改善が急務であるにも関わらず、FIAの定めたレギュレーションが足かせとなっているのが現状です。
状況が変えられない以上、今年のマシンは失敗作としか言いようがありません。
「失敗したからといって、くよくよしている暇はない。」
本田宗一郎氏に「失敗したからといって、くよくよしている暇はない」という言葉があります。
氏の言葉は以下の様な背景によるものです。
「許される失敗というものは、進歩向上を目指すモーションが生んだものだけに限る」
明かな準備不足や油断から生じる失敗は、いわば「猿も木から落ちる」で、プロとして許されない。もし許される失敗があるなら、それは猿があたらしい木登り技術の「試み」から落ちた場合だけだと断言している。(中略)
「失敗したからといって、くよくよしている暇はない。間髪を入れず、その原因究明の反省をして、次の瞬間にはもう一歩踏み出さなければならないのである」
出典:「1分間本田宗一郎 常識をうちやぶる人生哲学77」著者:岩倉信弥 発行所:ソフトバンククリエイティブ株式会社
ホンダの開発陣には、今こそ、この言葉を肝に銘じて2016年のエンジン開発に邁進して欲しい時です。
パワーユニット「RA615H」は許される失敗だったのか?
気になるのは、このパワーユニットの開発が許される失敗だったのか?ということです。
この点については誰にも分からないかもしれません。
しかし、このパワーユニットによって、ドライバーのプライド、マクラーレン・ホンダブランドの失墜等、多くのものが犠牲になったことは事実です。
その事実を踏まえて、ホンダパワーユニットのステップアップに期待します。
以下の過去記事もご覧下さい。
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