書籍の電子化・自炊のはじめ方
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「★(Blackstar)」とアルバム「’hours…’」の関連性。デヴィッド・ボウイが「★」を7曲収録にした意味を「’hours…’」の楽曲「Seven」に問う。

デヴィッド・ボウイの世界ブラックスター

「★(Blackstar)」には7曲という少ない楽曲が収録されています。

死を目前にしたデヴィッド・ボウイが世に送り出したアルバムだからこそ、この7曲という収録数にも意味があると考えていました。

私は「’hours…’」と「★」の関連性に気づき、記事にしようとしました。
その時、「★」の収録数の意味も分かったのでした。

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「’hours…’」と「★(Blackstar)」
「老い」と「死」

「’hours…’」というアルバムはデヴィッド・ボウイが52歳のときに発表したアルバムです。

このアルバムはタイトル通り「時間と誰もが迎える老い」をテーマにして作られています。
そのため、老いを意識した孤独な男のことを歌った楽曲が並びます。

老いゆく男の現在から過去を振り返ったものや、夢を語ったもの等、52歳というデヴィッド・ボウイが自らを意識した内省的なアルバムになっています。

このことを考えると「死という運命に直面した人間(※)」をテーマにした「★」の前段階を表現したアルバムとして、「’hours…’」を考える事が出来ます。

そして「’hours…’」はデヴィッド・ボウイの全アルバムの中でも特殊な意味を持ったアルバムとして重要度が増してきます。

※ジョナサン・バーンブルックのインタビューより。

参照 デヴィッド・ボウイ、『★(ブラックスター)』のアートワークに込められた意味が明らかに(NMEジャパン)

さらにデヴィッド・ボウイは「★」に自らが死した後のことまで、表現していました。
「★」は、デヴィッド・ボウイの死によって、自らのメッセージとしての役割を果たすアルバムとなることも、折り込まれていたのです。

これほどのアーティスト、そしてアルバムは、未だかつて存在しません。
この後も絶対に生まれないと断言できます。

……

ここまでは、既に記事としてアップする予定内容でしたが、もう一度「’hours…’」を確認するため、「デヴィッド・ボウイ コンプリートワークス:パオロ・ヒューイット著(TO BOOKS)」を読んで重要な記述に出会うことになります。

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「’hours…’」収録曲「Seven」が意味するもの

デヴィッド・ボウイ コンプリート・ワークス
デヴィッド・ボウイ コンプリート・ワークス image by Amazon

「’hours…’」に収録されている楽曲「Seven」にはデヴィッド・ボウイの兄に向けたと思われる歌詞が含まれています。

このことから、「デヴィッド・ボウイ コンプリートワークス」でも指摘されているように、「Seven」は「’hours…’」の中で重要な位置を占めていることが分かります。

さらに以下のような記述が続きます。

数占いに詳しかったボウイは、7を重要な数字と位置づけていたのだろう。7という人生の道(生年月日から算出する)を歩む人は「真実を探求する人」とされる。さらに占いではこうも分析されている。「自分をスピリチュアルな存在としてはっきり自覚している。その結果、未知への探求に人生を捧げ、人生の謎に対する答えを見出す。万全の備えで義務を遂行する。崇高な精神の持ち主で、物事を分析して考える。探求や知的なパズルを楽しみ、そうすることで、洞察力と問題解決力を高める。孤独を楽しみ、一人の仕事を好む」誰か思い当たる人はいるだろうか?

出典 「デヴィッド・ボウイ コンプリートワークス:パオロ・ヒューイット著(TO BOOKS)」


この記述から、7の意味と「Seven」という曲が意味することが自明となります。

私は、この曲をデヴィッド・ボウイ自らを歌ったものと考えています。(当時のインタビューでは自伝ではないと否定していますが…)

そして「★」を生み出す行動原理がはっきりと示されています。

この「Seven」という曲が収録されているという事実だけでも「★」へ繋がる重要アルバムとして「’hours…’」を位置づけることができます。



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さらに「’hours…’」の井上貴子さんによるライナーでは、「Seven」について、以下のように綴られています。

7というのは、キリスト教やヨーロッパの印鑑伝承では神聖な数を意味し、黙示録でも引用される。「ジギー・スターダスト」のオープニングでは「地球はあと5年間しかない」と大騒ぎしながら黙示録的な風景を告発した彼は、今“セブン”でこう歌う。「僕は生きるための7日間を手に入れた。そして7通りの死に方も」…家族や周りの友人たちの死を体験し、それを受け入れることによってよりしたたかになったボウイ。朝起きるたびに「よし、まだ生きているぞ!さあ、新しい1日だ。何をしよう?まるまる1日あるんだぞ!」と叫ぶボウイ。生きることも、死ぬことも、年をとることも、不安でたまらなかった20代ボウイの独りぼっちの背中に、そっと毛布をかけてあげるような温かな曲だ。

出典 「’hours…’」の井上貴子さんによるライナー


この「Seven」という楽曲によって「★」から「ジギー・スターダスト」への関連性も示唆されています。

このライナーの文章は「★」を作り上げるボウイの日々の気持ちを的確に表現しているようで、今、読むと目頭が熱くなります。

「デヴィッド・ボウイ コンプリートワークス」と「井上貴子さんによるライナー」の「Seven」に関する記述によって、「★」が何故、7曲構成でなければならなかったのか、その理由も導き出されます。

これらがデヴィッド・ボウイの生前に、既に発表されていたという事実に感慨を深くせざるを得ません。

© bluelady.jp


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